補助銀貨

補助銀貨とは

補助銀貨とは、正貨である本位貨幣を補助する目的で発行される小額面の硬貨のうち、比較的高額の硬貨に用いられる、銀を主成分とする貨幣を指します。金本位制や銀本位制が廃止されて以降、「補助銀貨」という名称は使われなくなりましたが、1960年代頃まで多くの国で素材価値と額面価値がリンクしない銀貨が一般流通していました。

概要

本位銀貨は、額面と実質価値がほぼ同じで、通常90%以上の銀純度で鋳造されます。一方、補助銀貨は品位を下げるか、量目を減らす、またはその両方を行うことが多く、多くの場合、通用力が制限されていました。銀価格の高騰や、銀の工業利用が増加したことにより、補助銀貨を含む硬貨としての銀貨は、アメリカ、日本、ヨーロッパ諸国など、ほとんどの国で1970年代半ばまでに姿を消し、白銅貨やニッケル貨に置き換えられました。

20世紀半ば過ぎまで鋳造されていた各国の銀貨の品位は、例えばフランスの5フラン、スイスの5フランは.835、オランダの2.5ギルダーが.720、ドイツの5マルクが.625、アメリカの50セントが.400でした。

各国の事例

日本

日本では、新貨条例の施行により登場した洋式貨幣のうち、5銭硬貨から50銭硬貨の4種類が、最初の補助銀貨として鋳造されました。これらの補助銀貨は、品位.800でした。明治39年（1906年）から大正7年（1918年）頃にかけて、銀価格が上昇し、補助銀貨の鋳潰しの恐れが生じたため、量目の変更などの改正を迫られました。

戦後初の銀貨として登場した100円銀貨は、臨時通貨法を根拠法とする臨時補助貨幣でした。品位は.600であり、上質な銀貨とは言えませんでした。しかし、この100円銀貨は、1988年に施行された通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律によって貨幣と見なされることになり、現在も法定通貨として有効です。

アメリカ

アメリカでは、1873年に金銀複本位制が廃止され、金本位制となりました。その際、本位金貨に対し、1/2ドル、1/4ドル、1ダイムの硬貨が補助銀貨として発行されました。1933年までは、これらの銀貨の法貨としての通用制限額は5ドルでしたが、1933年に銀貨の通用制限額が撤廃されました。

1ドル銀貨は、1878年から再び発行され、法貨として無制限通用となりました。しかし、本位貨幣としての自由鋳造は認められず、政府が市場価格で銀地金を購入し、造幣局で銀貨を鋳造する定位貨幣でした。

参考文献

• - 貨幣に関する資料

関連項目

• - 銀貨
• - 補助貨幣

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