裴寂

裴寂（はい せき）

裴寂（569年 - 629年）は、中国の隋朝から唐朝にかけての官僚であり、唐朝の建国における功臣の一人として知られています。字は玄真（げんしん）。本貫は河東郡聞喜県。

生涯

若くして両親を亡くし孤児となった裴寂は、14歳で州の主簿に任じられます。隋の開皇年間（581年 - 600年）には左親衛となり、大業年間（605年 - 617年）には侍御史、駕部承務郎、晋陽宮副監などを歴任しました。

隋末期、裴寂は李世民と連携し、李淵に太原での挙兵を勧めました。この進言が、後の唐朝建国へと繋がります。

李淵が挙兵すると、裴寂は晋陽県令の劉文静と共に李淵を補佐し、長安を陥落させます。その後、大丞相府長史に任じられ、魏国公に封じられました。隋の恭帝侑からの禅譲の際には、李淵に禅譲を受けるよう進言し、唐朝の成立に大きく貢献しました。唐朝成立後、尚書右僕射に任じられています。

しかし、後に劉文静と仲違いし、李淵に進言して劉文静を処刑させています。この一件は、裴寂の晩年に影を落とすことになります。

貞観3年（629年）、沙門の法雅が人々を扇動したとされる事件に関与したとして、裴寂は免官となり蒲州へ追放されます。その後、監奴の讒言により静州へ流されることとなりました。流刑中、偶然にも山羌（異民族）が反乱を起こした際、裴寂は家僮を率いて賊を鎮圧する功績を挙げます。この功績により入朝を赦免されましたが、同年61歳で亡くなりました。

裴寂の生涯は、唐朝の建国という輝かしい功績と、その後の政争に巻き込まれるという波乱に満ちたものでした。

伝記資料

『旧唐書』巻57
『新唐書』巻88

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