恭帝侑

恭帝侑（きょうてい ゆう）：隋朝最後の皇帝

恭帝侑（きょうてい ゆう）は、隋朝の第3代皇帝であり、短期間ながら隋の歴史に終止符を打った人物です。煬帝の孫として生まれ、激動の時代に翻弄されながらも、その生涯を終えました。

生涯

607年、楊侑は陳王に封じられ、後に代王に改封されました。煬帝が高句麗遠征に出兵すると、彼は京師（長安・大興城）の留守を任されます。615年には煬帝の晋陽行幸に従い、太原郡太守に任命されましたが、すぐに京師へと戻りました。

皇帝擁立

617年11月、唐国公であった李淵が長安を占拠すると、楊侑は李淵によって皇帝として擁立され、大興殿で即位しました。李淵を尚書令・大丞相に任じ、唐王に封じて国政を委ねます。これは、実質的には李淵が政治の実権を握ったことを意味します。

隋の滅亡と禅譲

618年3月、煬帝が宇文化及によって殺害されたという知らせが5月に長安に届くと、楊侑は李淵に帝位を禅譲し、ここに隋は滅亡しました。その後、楊侑は唐の酅国公に封ぜられます。

死去

619年9月、楊侑は死去しました。彼の異母兄である楊侗（恭帝侗）は、東都洛陽で擁立され、王世充によって殺害されました。しかし、楊侗は恭帝侑が李淵に禅譲した経緯から、正統な皇帝とは見なされていません。

恭帝侑の生涯は、隋朝の滅亡という歴史的な出来事と深く結びついています。彼は時代の波に翻弄されながらも、短期間ながら皇帝としてその名 history に刻みました。

伝記資料

『隋書』巻五 帝紀第五「恭帝紀」
『北史』巻十二 隋本紀下第十二「恭皇帝紀」

参考文献

宮崎市定「隋恭帝兄弟考」（『隋の煬帝』（中公文庫、1987年）所収）

関連項目

隋末唐初

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