複数政党制民主主義運動

複数政党制民主主義運動（MMD）とは

複数政党制民主主義運動（Movement for Multi-party Democracy, MMD）は、ザンビアの中道左派政党です。ザンビアの政治において重要な役割を果たしました。

MMD結党の背景と政権成立

ザンビアは1964年の独立以来、ケネス・カウンダ率いる統一民族独立党(UNIP)による一党支配が続いていました。しかし、慢性的な食糧難、経済的苦境、UNIP政権の汚職・腐敗などに対する国民の不満が高まりました。

このような状況下で、フレデリック・チルバが中心となり、反カウンダ勢力を結集してMMDが結党されました。チルバは労働組合や旧UNIPメンバーの支持を得て、複数政党制の導入を求める運動を主導しました。国際社会からの圧力も後押しとなり、1990年に複数政党制を認める新憲法が制定され、MMDはUNIPに対抗する有力な野党として台頭しました。

1991年、ザンビア初の複数政党制大統領選挙でチルバは圧勝し、MMDは議会でも多数議席を獲得して政権交代を実現しました。

チルバ政権の功績と課題

大統領就任後、チルバは世界銀行やIMFの指導の下、経済自由化政策を推進しました。特に主要産業である鉱業分野でその傾向が顕著でした。しかし、政治的にはUNIP一党制を廃止したものの、MMD政権は強権的な姿勢を強め、野党を弾圧しました。これに対し、一部の先進国はザンビアへの援助を停止しました。

チルバ政権末期には、強権支配に対する反発から有力者がMMDを離反し、党内が分裂しました。また、UNIPも依然として影響力のある野党として活動していました。政権維持のため、チルバ政権は野党候補を排除する露骨な制度改革を実施し、1996年の選挙でMMDは圧勝、チルバも再選を果たしました。

1997年にはクーデター未遂事件が発生し、野党指導者が逮捕されるなど、政情は不安定でした。しかし、MMD内部からもチルバに対する反発が強まり、3選を禁じた憲法改正を求める動きが起こりましたが、実現には至りませんでした。

ムワナワサ政権による刷新

2001年の大統領選挙で、チルバの後継者として指名されたレヴィー・ムワナワサが当選しました。ムワナワサ政権は、チルバ政権の強権的な支配体制を見直し、国民の貧困状態について謝罪しました。また、チルバ政権下の腐敗追求を開始し、チルバ自身も公金横領などの容疑で訴追されました。

ムワナワサ政権は、IMFの支持に基づき、閣僚や官僚の給与を削減するなど、支出削減政策でも成果を挙げました。

近年のMMD

2006年の大統領選挙でムワナワサは再選を果たしましたが、政権運営に対する批判も多く、長期政権に対する国民や国際社会からの圧力が高まっていました。2008年にムワナワサが急死し、副大統領のルピヤ・バンダが大統領に昇格しましたが、2011年の大統領選挙で愛国戦線(PF)のマイケル・サタに敗北し、20年に及んだMMD長期政権は終焉を迎えました。

MMDはザンビアの民主化に貢献した一方で、政権維持のための強権的な政策や腐敗問題など、多くの課題も残しました。その功績と課題は、ザンビアの政治史において重要な教訓となっています。

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