ルピヤ・バンダ

ルピヤ・ブウェザニ・バンダ：ザンビアの政治家

ルピヤ・ブウェザニ・バンダ（Rupiah Bwezani Banda、1937年2月13日 - 2022年3月11日）は、ザンビア共和国の政治家であり、同国の大統領を務めました。彼の政治キャリアは、ザンビアの激動の時代と深く結びついています。

生い立ちと外交官としてのキャリア

バンダは、南ローデシア（現在のジンバブエ）のグワンダで生まれました。両親は北ローデシア（ザンビア）に移住し、バンダはオランダ改革派教会の支援を受けて教育を受けました。1960年代に政治活動を開始し、統一民族独立党（UNIP）の青年部に入党。1966年にはホープ・ムワンザ・マクルと結婚し、5人の子供を授かりました。

1960年代にはUNIPの北欧代表を務め、1965年には駐エジプト大使に就任。エジプト大使時代には、アンゴラの反政府武装勢力UNITAの指導者ジョナス・サヴィンビと親交を深めました。1967年4月には駐米大使に任命され、2年間務めた後、帰国してルラル開発公社総裁や国家農業マーケティング委員会ゼネラルマネージャーを歴任しました。その後、外交の世界に戻り、国連総会代表としてナミビア独立問題などを担当。1975年には外相に就任し、アンゴラ内戦の停戦に尽力しました。

政治家としての台頭

1978年の総選挙で国会議員に初当選。1988年に落選するも、選挙の正当性をめぐり法廷闘争を展開しました。また、鉱山相も務めました。1991年、複数政党制民主主義運動（MMD）のロナルド・ペンザに敗れて落選。UNIPは1996年の総選挙をボイコットし、バンダも党の方針を支持しました。その後、バンダはMMDに移籍しました。2006年9月の大統領選挙でMMDのレヴィー・ムワナワサが再選されると、同年10月9日にバンダは副大統領に任命されました。この人事は、東部ザンビアの住民からの支持獲得を目的としたものと見られています。2007年8月には、南アフリカ開発共同体（SADC）サミット開催を前に、ムワナワサ大統領がジンバブエのロバート・ムガベ大統領を非難したことを受け、ジンバブエを訪問しています。

大統領として

2008年6月29日、ムワナワサ大統領が脳疾患で倒れたため、バンダは臨時代理大統領に就任しました。ムワナワサ大統領の死去後、憲法の規定に従い大統領選挙が実施されることになり、2008年10月30日の選挙でバンダは40.09％の票を獲得して勝利しました。しかし、対立候補である愛国戦線（PF）のサタ党首は選挙に不正があったとして結果を受け入れませんでした。

バンダは大統領として、ムワナワサの経済重視路線を継承し、ザンビアの経済成長を目指しました。しかし、2011年9月の大統領選挙ではサタに敗北し、大統領を退任。MMDは1991年以来政権を維持してきましたが、選挙を通しての政権交代は、アフリカにおいても珍しい出来事でした。

死去

2022年3月11日、バンダは結腸がんのためルサカ市内の自宅で死去しました。85歳でした。

エピソード

2009年6月24日、議会議事堂にある大統領執務室前の庭で記者会見を行った際、近くの木にいたサルに小便をかけられるという珍事に見舞われました。バンダはサルに向かって「あなたは私のジャケットに放尿した」とコメントし、報道陣や外交官らには「恐らく、これは天の恵みでしょう」とジョークを飛ばしました。

ルピヤ・ブウェザニ・バンダは、ザンビアの政治史において重要な役割を果たした人物として記憶されるでしょう。

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