襄陽記

襄陽記（じょうようき）について

『襄陽記』は、東晋時代の歴史家である習鑿歯によって編纂された襄陽郡の地方志です。別名『襄陽耆旧記』や『襄陽耆旧伝』とも呼ばれ、地域の歴史や文化、著名な人物について幅広く記録されています。現在の襄陽市に該当するこの地域の豊かな伝承がまとめられた重要な文書です。

編纂の経緯

この書は早い段階で散逸してしまったため、清の光緒32年に呉慶燾がそれを再編集し、輯本を成立させました。これは、習鑿歯のオリジナルの内容を補完し、現代にもその情報を伝えるための重要な作業でした。呉慶燾の編集によって、書の内容は「人物」「山川」「城邑」「牧守」という章に分かれ、それぞれが詳しく説明されています。

内容の概要

『襄陽記』は主に三つの構成から成り立っています。前篇では地元の著名な人物についての記載があり、彼らの業績や生涯が紹介されています。中篇は山や川、城など自然環境や地域の名所について言及しており、襄陽の風景を通して人々の生活や文化に触れることができます。後篇では、場所の管理に携わる牧守について記録されており、地域の行政や歴史的背景が理解できる内容となっています。

書名のバリエーション

書名に関しては、いくつかの歴史的記録に異なる表記が見られます。『隋書』の「経籍志」では「襄陽耆旧記五巻、習鑿歯撰」と記されており、『旧唐書』の同じく「経籍志」では「襄陽耆旧伝五巻、習鑿歯撰」と記載されています。また、『宋史』の「芸文志」では「習鑿歯襄陽耆旧記五巻」という形になっています。このように、様々な文献で異なる名称が使われていることから、書名に関する統一性は見られません。

評価と影響

近世の『郡斎読書志』においては、本書の記載内容が多岐にわたることから、典型的な伝記形式ではなく詳細な地域情報が中心であるとされ、正確な書名として「襄陽耆旧記」が挙げられています。このような理由から、『襄陽記』は後の編纂版においても「襄陽耆旧記」として取り扱われています。情報量が豊富であり、地域の文化を理解するための貴重な資源として評価されています。

襄陽の文化や歴史に興味がある方にとって、『襄陽記』は必見の文献であり、地域学や歴史研究においての基盤資料とも言えるでしょう。

もう一度検索