襄陽市

襄陽市（じょうようし）は、中華人民共和国湖北[[省]]の北西部に位置する地級市です。長江最大の支流である漢水の中流域に位置し、古くから水運の要所として栄えました。2010年12月に、旧名の襄樊市（じょうはんし）から現在の襄陽市に改称されました。この改名は、歴史的な地名である襄陽と樊城の二つを合わせた旧名から、より代表的な襄陽の名を採用したものです。

地理

襄陽市は、湖北[[省]]の北西部に位置し、漢水の中流域に広がっています。北は河南[[省]]南陽市、東は随州市、南は宜昌市と荊門市、西は十堰市と神農架林区と隣接しています。この地理的な位置から、古くから交通の要衝として機能し、様々な文化や人々が行き交う場所でした。

歴史

襄陽市の歴史は古く、春秋戦国時代には楚の国の一部でした。三国時代には、蜀の劉備が荊州を拠点としていた際、重要な拠点の一つとして襄陽が位置づけられました。また、晋代以降は、南北朝時代から唐代にかけて、この地域は経済や文化の中心地として発展しました。近代では、1949年に中華人民共和国が成立すると、襄陽専区が設置され、その後、襄陽地区へと改称されました。

1979年には、襄陽地区の行政の中心であった襄樊市が地級市に昇格しました。1983年には、周辺の県や市が襄樊市に編入され、現在に至る行政区画の基礎が築かれました。2010年には、都市名の変更が行われ、現在の襄陽市となりました。この改名には、歴史的な背景と地域住民のアイデンティティを反映する意図がありました。

行政区画

現在の襄陽市は、3つの市轄区、3つの県級市、3つの県を管轄しています。

市轄区:
襄城区
樊城区
襄州区
県級市:
老河口市
棗陽市
宜城市
県:
南漳県
穀城県
保康県

年表

襄陽市の歴史は、行政区画の変遷と共に複雑に展開してきました。

1949年10月1日：中華人民共和国成立に伴い、襄陽専区が成立。7県が発足。
1951年6月：襄陽県の一部が分立し、襄樊市が発足。8県体制。
1952年1月：鄖陽専区の6県を編入、1市14県体制となる。
1952年6月：孝感専区の随県を編入、1市15県体制。
1952年8月：襄樊市を編入、1市15県1鎮体制。
1953年4月：襄樊鎮が市制施行し、襄樊市となる。1市15県体制。
1970年：襄陽専区が襄陽地区に改称。
1979年6月：襄樊市が地級市に昇格。
1983年8月：随州市や周辺の県が襄樊市に編入、3市6県体制となる。
1984年4月：襄城区、樊東区、樊西区、郊区が設置。
1988年1月：棗陽県が市制施行し、棗陽市となる。4区3市5県体制。
1994年6月：宜城県が市制施行し、宜城市となる。4区4市4県体制。
1995年10月：襄城区と樊城区が再編され、2区3市4県体制となる。
2001年8月：襄陽区が発足、現在の3区3市3県体制となる。
2010年11月：襄樊市が襄陽市に改称。

交通

襄陽市は、交通の要所でもあり、鉄道、空港、道路網が整備されています。

空港: 襄陽劉集空港があり、国内各地へのアクセスが可能です。
鉄道: 襄陽駅は、焦柳線、襄渝線、漢丹線が乗り入れる重要な駅であり、中国各地への鉄道輸送を担っています。また、襄陽南駅も存在します。

観光

襄陽市には、多くの歴史的・文化的な観光スポットがあります。

襄陽城: 古代の城壁が残る襄陽城は、その歴史的な価値から多くの観光客が訪れます。
緑影壁: 襄陽市内に存在する緑色の壁で、地元の人々にとっては馴染み深い場所です。
古隆中: 三国時代の名軍師、諸葛亮が隠棲していたとされる場所で、当時の雰囲気を今に伝えています。

文化

襄陽市は、多様な文化が交差する場所でもあります。

言語: 主に西南官話鄂北片の方言が話されていますが、1970年代に移住してきた人々により、呉語や東北官話も話されています。このため、市内に言語の島が形成されています。また、西南官話を話す回族も1万人以上居住しています。
食文化: 湖北料理の一種である「襄鄖菜」が食されており、特に辛い味付けの牛モツを入れた牛雑麺が有名です。この他にも、地元ならではの食文化が息づいています。

襄陽を舞台とした作品

襄陽市は、様々な文学や映画作品の舞台にもなっています。

小説: 金庸の武侠小説『神鵰剣俠』の舞台の一つとして襄陽城が登場します。
映画: 2021年の映画『こんにちは、私のお母さん』は、襄陽市を舞台にした作品です。

友好都市

襄陽市は、国際交流も積極的に行っており、日本の愛知県犬山市と友好都市提携を結んでいます。

襄陽市は、その豊かな歴史と文化、そして現代的な発展が融合した魅力的な都市です。地理的な要衝としての役割と、様々な文化が混ざり合う多様性から、多くの人々が訪れる場所となっています。

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