襟カラー

襟カラー（えりカラー）についての詳細

襟カラーは、主に詰襟スタイルの服装に取り付けられるもので、襟の内側に装着されることで、襟自体の汚損を防ぎます。襟に色のアクセントを与え、さらには襟を強化する役割も果たします。一般的には「カラー」や「襟布」とも呼ばれます。

襟カラーという言葉は、英語の「collar」に由来しており、日本語の「襟」に相当します。しかし、カラーの定義は、衣服の身頃との接合に関わらず、首元に装着する円筒状の物を広く指します。特に、カトリック教会の神父や、立襟及び折襟型の軍服などで用いられることが多いです。

歴史と進化

初期のシャツやジャケットでは、襟や袖の部分が汚れやすいため、容易に洗浄や交換ができるように脱着式で作られていました。この流れを受け、詰襟ジャケットにも襟カラーが用いられるようになりました。伝統的なドレスシャツの襟は分離型となっており、ドレスシャツには襟がないものと、襟付のシャツにはカラーが付けられないという使い分けが一般的でした。しかし、近年では襟付のシャツが普及し、カラーの使用が混在するようになっています。

襟カラーの主な目的は、襟の汚れから保護することに加え、清潔感を引き立てるためのアクセントを提供することです。初めは、白い布地の帯を使用していましたが、手入れが難しく、汚れやすいため、合成樹脂製品に移行しました。最初はベークライトが用いられ、その後セルロイドが使われていましたが、熱に弱く危険が伴うため、1970年代には不燃性のポリ塩化ビニルへと変更されました。現在では、柔らかなポリプロピレンが一般的に使用されています。

現在の使用状況

襟カラーは、硬い素材で作られているため、首の動きを制限し、着用者に窮屈感を与えることがあります。さらに、近年の学生服に使われるカラーはプラスチック製のため、汗を吸わず、暑い日や激しい活動時には不快感につながります。日本では、2021年に国内唯一のプラスチック製カラーの工場が生産を終了し、需要の低下が問題視されています。これには、より快適なラウンドカラーへの需要の増加や、詰襟制服を使用する学校の減少が影響しています。

神父と軍服の襟カラー

カトリック教会の神父は、黒やグレー、薄い水色の布地で作られた襟の中にカラーを通し、首の後ろで留めるスタイルが一般的であり、改まった場でなければカラーを外していることもよく見受けられます。また、その他の宗教団体の教職者も本来のワイシャツにネクタイを組み合わせるスタイルが主流となっています。

軍服におけるカラーの使用は第一次世界大戦頃から進化し、いくつかの軍隊では立襟型から立折襟型に移行しましたが、襟カラーの使用は続いています。例えば、日本陸軍では将校が専用のカラーを装着する一方、下士官は薄手の布を使用しています。

学生服と襟カラー

現代の学生服には、襟の内側に5つの突起が附いており、これにカラーを取り付けます。学生服のカラーは詰襟の高さに応じて多様で、最も一般的なのは高さ4cm、幅39mmの標準型です。このカラーを装着した生徒からは、首周りの不快感を訴える声も聞かれます。このため、慶應義塾大学のように、比較的低い高さのカラーを採用する学校も増え、さらにはノーカラーにする動きも見られます。さまざまな学生服に合わせたカラーが登場する中で、着用感を重視した商品が求められるようになっています。

結論

襟カラーは、そのデザインの歴史や流行の変化を反映しながら、今も多くの場面で使用されています。特に、清潔感や礼儀を表すための重要なアイテムとしての役割を果たし続けています。今後も、着用感やスタイルに配慮した進化が期待されるでしょう。

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