西イリアン国際連合保安隊

西イリアン国際連合保安隊（UNSF）とは

西イリアン国際連合保安隊（United Nations Security Force in West New Guinea, UNSF）は、ニューギニア島西部（現在のイリアンジャヤ）に展開した国際連合平和維持活動です。この活動は、国際連合暫定統治機構（UNTEA）と密接に協力し、オランダ領ニューギニアにおけるオランダ軍とインドネシア軍の停戦を監視し、地域の治安維持を目的としていました。

背景

19世紀以来、イリアンジャヤはオランダ領ニューギニアとしてオランダの植民地でした。1949年のインドネシア独立戦争終結後も、オランダは同地域の統治を継続していました。これに対し、インドネシアはイリアンジャヤを自国領と主張し、オランダとの間で対立が深まります。オランダは西パプアとしてイリアンジャヤをインドネシアから分離独立させようとしていました。1962年に入ると、インドネシアは空挺部隊や魚雷艇部隊を投入し、イリアンジャヤへの武力介入を本格化させました。

アメリカの仲介とニューヨーク合意

事態を憂慮したアメリカ合衆国は、両国間の仲介に乗り出しました。その結果、1962年8月15日、ニューヨーク合意と呼ばれる両者間の合意が成立しました。この合意により、イリアンジャヤは一時的に国連事務総長の監督下で国際連合が統治することとなり、1963年5月1日にインドネシアへ統治が移管されること、そして1969年末までに住民による帰属の自己決定が行われることが定められました。

国連の対応とUNSF設立

国際連合は、この合意を歓迎し、同年9月21日の国際連合総会決議1752において、事務総長に対し適切な措置の実施を求めました。当時のウ・タント国連事務総長は、決議を待たずにニューヨーク合意後直ちに行動を開始し、8月18日には先遣隊を現地に派遣しました。コンゴ国連軍からの部隊転用やアメリカ空軍第13空軍の支援もあり、総会決議の9月21日までには停戦監視およびインドネシア軍への非軍事物資補給体制を整えていました。

そして10月3日、ニューヨーク合意第7条に基づき、西部ニューギニアにおける治安維持部隊として西イリアン国際連合保安隊（UNSF）が設立されました。UNSFは、パキスタン軍1,500名のほか、アメリカ合衆国およびカナダからの航空機要員76名などで構成されていました。

国際連合暫定統治機構（UNTEA）との協力

1962年10月1日、オランダから国際連合暫定統治機構（UNTEA）に統治権が移譲されました。UNTEAはUNSFと協力し、暫定統治を行いながら、インドネシアへの行政機構の移管を任務としていました。UNSFは、治安維持活動のほか、UNTEAの活動をサポートし、円滑な統治移管を支援しました。

活動の終了と成果

UNSFおよびUNTEAの協力により、作業は順調に進みました。1963年5月1日、西部ニューギニアの統治権はオランダからインドネシアに移譲され、西イリアン国際連合保安隊は任務を完了し解散しました。UNSFの活動は、この地域における平和と安定を確保する上で重要な役割を果たしました。その後の住民による帰属の自己決定に関しては、1969年に実施されました。

外部リンク

UNITED NATIONS SECURITY FORCE IN WEST NEW GUINEA

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