西ノ海嘉治郎 (2代)

西ノ海 嘉治郎（2代）

西ノ海 嘉治郎（にしのうみ かじろう）は、1880年2月6日に鹿児島県熊毛郡種子島で生まれた大相撲力士です。彼は本名を牧瀬 休八といい、後に近藤 休八とも呼ばれます。嘉治郎は、井筒部屋に所属し、相撲界では第25代横綱として名を馳せました。彼の生涯は、相撲界での栄光と私生活での悲劇が交錯するものでした。

入門から入幕まで

嘉治郎は農家の二男として生まれ、15歳の時には「島一番の大男」として名を馳せていました。その体格に注目した地域の人々から相撲への道を勧められましたが、最初は父親の反対もありました。しかし、巡業中の井筒からの勧誘が決め手となり、彼は相撲界に入ります。1900年1月場所で初土俵を踏み、四股名は出身地に由来する「種子ヶ島」と名付けられました。彼はその才能を評価され、初めは序二段ながら幕下の申し合いにも参加することになりました。

当初、稽古には意欲的ではなかった嘉治郎は、師匠から厳しく指導され、さらには逃げようとしたエピソードもあります。しかし、それが彼を鍛え直すきっかけとなり、以後は真面目に稽古に励み、1906年5月場所で「錦洋 与三郎」と名前を改めて新入幕を果たしました。これが彼の相撲人生の始まりでした。

横綱昇進から現役引退

1909年、師匠が亡くなったことにより、嘉治郎は新たに「西ノ海 灘右エ門」と改名し、その後、横綱の道へ進みました。1910年には大関に昇進し、1912年には当時43連勝中の太刀山峯右エ門を破るという偉業を成し遂げます。この勝利は相撲界に歴史を刻むものであり、太刀山がその後56連勝を記録することからも、その影響の大きさが伺えます。

寒暖の激しい相撲界で活躍する中、嘉治郎は1914年に（2代）西ノ海 嘉治郎として横綱に昇進し、1916年には最高齢で初優勝を果たします。しかし、彼の晩年は苦しいものであり、現役時代の全盛期には強力な対戦相手と熱戦を繰り広げていましたが、1918年には引退を決意しました。

引退後の活動と波乱

相撲界を引退した後、嘉治郎は年寄・井筒を襲名し、多くの力士を育成しました。彼の指導の下、三代目西ノ海をはじめとする多くの力士が活躍し、部屋の繁栄を築き上げました。嘉治郎は温厚な性格でありながら、人望も厚く、日本相撲協会でも重要な役職に就くなど、相撲界における存在感を示していました。

しかし、彼の晩年は厳しい試練が待っていました。同僚の年寄との権力闘争や役員改選の中で、自身の立場に苦しみ、最終的には1931年1月27日に自らの命を絶ってしまいます。50歳という若さでの死は、多くの人々に衝撃を与えました。

結論

西ノ海 嘉治郎の人生は、成功と思索の両面を持つものであり、相撲界への貢献は計り知れません。彼の成績や数々の記録は後に続く力士たちにとっても目標とされ、今なお相撲ファンの心に残っています。彼の波乱に満ちた人生は、相撲界の歴史を語る上で欠かせない存在であると言えるでしょう。

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