西光寺 (阿南市)

西光寺の概要

西光寺（さいこうじ）は、徳島県阿南市の那賀川町赤池に所在する真言宗大覚寺派の寺院です。山号は己心山であり、本尊には不動明王が安置されています。この寺は特に阿波公方、つまり平島公方の菩提寺として知られています。

歴史的背景

西光寺の歴史は、足利義維（義冬）が細川氏之（持隆）の招きで阿波平島荘に来た際に始まります。彼はその折に一時的にこの寺に逗留した後、平島館へと移りました。その滞在は天文3年（1534年）頃とも言われています。このように、西光寺は室町時代の名将たちと深い関わりがある寺院です。

特に重要なのは、足利義維やその家系にあたる足利義稙、足利義栄など、歴代の公方が関与していた点です。地下には、義稙、義栄を含む阿波公方の墓21基が存在し、各々の縁者たちもここに眠っています。また、足利義根が阿波から退去する際、義根のために寺請証文が出された記録があります。これにより、西光寺が公方のための重要な拠点であったことがわかります。

さらに、寺は後に徳島藩から阿波公方歴代の墓守料として五十石の寄付を受けていました。このような背景が、西光寺の存在価値を一層高めています。

火災と文化財

西光寺は、歴史の中で幾度かの火災に見舞われました。昭和17年（1942年）には大規模な火災が発生し、本堂が焼失しましたが、仁王門は無事でした。この仁王門には左右に金剛力士立像がそれぞれ安置され、参道から境内へ向かう際に目にすることができます。この像はそれぞれ約6尺の高さを誇り、その威厳ある姿が訪れる人々を迎えます。

また明治元年にも火災が起こり、それ以前は大きな伽藍を有していました。特に注目すべきは、昭和17年の火災で失われた旧国宝に相当する木造阿弥陀如来像です。この像は文化財としての重要性からも注目を集めていましたが、残念ながら火災によって焼失しました。

本寺には、阿波の古学者である高橋赤水の墓が存在し、文化的な意義を持っています。

交通アクセス

西光寺へのアクセスは非常に便利です。JR牟岐線の「阿波中島駅」から徒歩で約5分の距離に位置しており、多くの訪問者が利用されます。周囲の自然とともに寺院の歴史を感じることができる場所です。

西光寺は、ただの歴史的な寺院ではなく、その背後にある物語や文化財、地元の人々とのつながりを体験できる貴重な地点であり、多くの観光客や歴史愛好家にとって必見のスポットです。

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