細川氏之

細川氏之（ほそかわ うじゆき）

細川氏之は、戦国時代の武将であり、阿波国の守護を務めた重要な人物です。彼は細川家の第9代当主にあたる存在で、一般には持隆（もちたか）という名前でも知られています。

生涯の概略

氏之は誕生が明応6年（1497年）で、父親や母親に関しては異説が存在しますが、一般には細川之持の子とされています。特に彼の人生は、細川晴元との密接な関係から形成されています。氏之は晴元を補佐し、享禄4年（1531年）には阿波国の軍を率いて和泉国へ遠征し、高国の討伐戦での功績を収めました。

しかし、次第に晴元と三好元長との不和が高まり、晴元が元長を攻めようとした際には氏之は離反し、阿波国に帰還しました。その後、彼は足利義晴や光勝院周適の仲介を受けて晴元と和解したものの、同時に将軍位を巡る争いが続く中、義維を阿波に迎え入れました。

天文8年（1539年）には赤松晴政の依頼で備中国に出陣しますが、出雲国の尼子晴久との戦いで敗北を喫します。彼の運命は天文21年（1552年）に悪化し、三好実休の攻撃を受け、見性寺で自害することとなりました。享年は37歳または38歳とされ、丈六寺に葬られました。

殺害の背景

氏之の死には複数の仮説があります。一説では、足利義栄を支援する動きを実休が察知したため、暗殺されたと言われています。また、阿波国内での実休の権力の増大や、氏之が晴元を支援していたことが彼の死に繋がったのではないかとも言われています。特に長慶と実休の争いにおいて、氏之は突如として彼らと対立する行動をとったため、その背景には未解明の点が多く残されています。氏之の死後、足利義維と義栄は大内氏に接近することとなりますが、この情報は誤りであり、実際には阿波に留まっていたと見られています。実休は氏之を殺害することで、より強い地位を築くために平島公方に接近したとも伝えられています。

系譜と家族

氏之の系譜については、長らく父が細川之持であるとされてきましたが、近年の研究でそれに疑問が呈されています。彼は細川澄元の子である可能性が高く、永正年間に誕生したことが示唆されています。家族に関しては、彼の正室は大内義興の娘であり、側室には岡本牧西の娘である小少将がいました。子供には細川真之がいますが、四女一男がいたと記録されています。

諱について

彼は通常、持隆という名で知られていましたが、実際には天文9年（1540年）に「氏之」という名で公文書を発行したことが記録されています。このことから、持隆という名が彼の実名でない可能性が高まります。また、三好実休の命名した之相や之虎の名前は、氏之からの偏諱であると考えられています。

そのため、持隆という名が定着した背景には誤解や編集による影響があるものと考えられています。これらの詳細を通じて、氏之の多様な側面と彼の業績が浮き彫りになってきます。

参考文献

• - 榎原雅治; 清水克行 編『室町幕府将軍列伝』
• - 馬部隆弘『戦国期細川権力の研究』
• - 森脇崇文『戦国期阿波守護細川家関係者「氏之」の素性について』

氏之の人生は、戦国時代の複雑な武将間の権力闘争や家族関係を映し出しており、その歴史的意義ははかり知れません。

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