西園寺実満

西園寺実満：激動の時代を生きた異色の人物

西園寺実満（さいおんじ さねみつ）は、天保14年（1843年）に生まれ、大正7年（1918年）に没した、幕末から明治にかけての人物です。西園寺家の一員として生まれながらも、その人生は平坦なものではありませんでした。

幼少期の出家と還俗

実満の父である実文は、実満が生まれる2年前に西園寺家から義絶されていました。幼い実満は、仏門に入り、大和国の正法寺で栄朝と名乗り、仏教や学問に励む日々を送ります。しかし、文久元年（1861年）に父が亡くなると、身寄りのない彼は三条西季知の猶子となり、還俗することになりました。

戊辰戦争への参加と投獄

還俗後、実満は西村丹波、松村篤之輔、植村徳之助といった変名を使い、木曾義仲の末裔を称する木曽源太郎（義顕）と共に、生野の変や戊辰戦争に身を投じます。明治維新後には鎮将府に出仕し、行政官書記を務めましたが、明治2年（1869年）に横井小楠暗殺事件に関与したとして投獄され、後に三条西家に幽閉されるという不遇をかこちました。

平民としての再出発と教育者としての晩年

明治5年（1872年）に赦免された実満は、壬申戸籍において西園寺姓を名乗ることを許されますが、西園寺家との争いを避けるため、自らの身分を平民としました。その後、岩手県警部や盛岡警察署長などを務めた後、下野し、国学、漢学、詩歌、書などに秀でていたことから、東京の神田一ツ橋に温和学堂を開き、後進の育成に尽力しました。姪が東京都府中市にある善明寺の住職の妻であった縁から、晩年は善明寺で過ごし、76歳でその生涯を終えました。墓所も善明寺にあります。

子孫

実満の子には、西園寺経世がいます。

まとめ

西園寺実満は、激動の幕末から明治にかけて、様々な顔を見せた人物でした。仏門から還俗し、戦乱に身を投じ、投獄されるという波瀾万丈な人生を送った一方で、晩年は教育者として社会に貢献しました。その多様な生き方は、現代を生きる私たちにとっても、示唆に富むものではないでしょうか。

参考文献：高埜利彦編『朝廷をとりまく人びと』（吉川弘文館、2007年）

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