西岡(にしおか)
西岡は、
北海道札幌市豊平区の南部に位置する地区です。
住宅地と
自衛隊演習場を含む丘陵地から構成されており、都市部からのアクセスも良好な地域として知られています。
概要
西岡地区は、
札幌市の中心部から南東に位置し、かつて豊平町役場があった
月寒からは南から南西にあたります。室蘭街道(
国道36号)から南西に位置するこの地区は、
明治初期には「焼山(やけやま)」と呼ばれていました。
1909年(
明治42年)に西山と改称され、
1944年(
昭和19年)に現在の西岡という名称になりました。
地理
南北に細長い形状を持つ西岡地区は、西岡水源池を境にして、北側が
住宅地、南側が丘陵地というように、地形がはっきりと分かれています。この地区の地形は、支笏火山の噴出物によって形成された台地であり、土壌は火山灰で構成されています。
北側の地形は、東を
月寒川、西を望
月寒川によって削られた南北に長い台地です。台地の東西は約1km、南北は約6kmに及び、標高は北端で約70m、南端で約150mとなっています。東側は福住、西側は平岸・南区澄川の各地区に隣接しており、これらの地域も同様の台地となっています。条・丁目が割り振られている地域は、西から東へ西岡1条から5条に分かれ、各条は北から南へ1丁目から15丁目まで分かれています。地区の北側は
住宅地や一部商業地として利用され、南側へ行くにつれて畑が点在する風景が見られます。
条・丁目が割り振られていない南側は
月寒川の上流域にあたり、面積は北側よりも広いものの、
市街化調整区域に指定されているため、
住宅はほとんどありません。そのうち北西部の望
月寒川上流部は
油沢と呼ばれ、工場や墓地などが設けられています。
主な地形要素としては、焼山という山、
月寒川や望
月寒川といった川、そして西岡水源池があります。
歴史
焼山に
和人が初めて入植した時期については、
1886年(
明治19年)から
1889年(
明治22年)の間という説がありますが、正確な年は明らかになっていません。当時、この地域は行政上
月寒村に属しており、開拓初期には
福井県、
石川県、
富山県といった北陸地方からの移住者が多くを占めていました。彼らは森林を切り開いて畑を作り、薪炭の製造・販売や出稼ぎによって現金収入を得ていました。
1902年(
明治35年)に
月寒村、豊平村、平岸村の3村が合併し、豊平村が誕生すると、焼山はその一部となりました。
1909年(
明治42年)には焼山が西山と改称されました。
1890年(
明治23年)には、
兵庫県出身の移住者である森金蔵によって現在の西岡八幡宮が創建されたと伝えられています。
西山は火山灰地で土地が痩せており、水を得にくい台地であったため、農業は困難を極めました。
1915年(
大正4年)から
戦後にかけては、
札幌市の各家庭から屎尿を回収し、肥料として利用していました。
大正時代には「焼山いも」というブランドで品質の良い
ジャガイモを本州や海外に販売していました。また、隣接する平岸で成功した
リンゴ栽培が、
1923年(
大正12年)から西岡にも広がりました。
油沢地区では、かつて
油が地表に染み出す場所があり、
1883年(
明治16年)から
1957年(
昭和32年)にかけて石
油の試掘が繰り返されましたが、発見には至りませんでした。しかし、地域住民は機械の潤滑
油などに利用していました。
1944年(
昭和19年)に西山は西岡と改称されました。
1961年(
昭和36年)に豊平町が
札幌市に編入されると、西岡地区も
札幌市の市政下に入り、バスの便が整備されたことで、農村から
住宅地へと変貌を遂げ始めました。
水源池通沿いには商店が点在するようになり、やがて大型店舗も進出しました。
1967年(
昭和42年)には
札幌大学が開学し、農地は減少し、南部にわずかに畑が残る程度となりました。
1972年(
昭和47年)の札幌冬季オリンピックでは、
クロスカントリースキー競技場が西岡に建設され、現在も競技会などで利用されています。
隣接地区
西岡地区は、東に福住、
羊ケ丘、
清田区真栄、西に平岸、南区澄川、南区
真駒内、南に南区滝野、
清田区有明、北に
月寒西といった地区と隣接しています。
主要道路・交通機関
- - 白石藻岩通(道道453号):月寒西との境界をなしています。
- - 水源池通:地区内から北へ延びています。
- - 五輪通(道道82号):地区内から西へ延びています。
- - 羊ケ丘通:地区内を西から東へ抜けています。
- - 福住桑園通:地区内を東から西へ抜けています。
鉄道や地下鉄は地区内を通っていません。主要な交通手段としてはバスが利用されており、
北海道中央バスの西岡営業所が設置され、
月寒中央駅、
澄川駅、札幌都心などとを結んでいます。また、北都交通の
新千歳空港連絡バスが札
大正門前などに停車します。
主な施設
参考文献
- - 『北海道を探る』第4号(西岡特集)、北海道みんぞく文化研究会発行、1989年。