西康省

西康省の歴史と地理

西康省（せいこうしょう）は、中華民国から中華人民共和国に波及した歴史を持つ特異な地域でした。その歴史は大きく四つの時期に分けられます。これにより、政治的な変遷や地域の重要性が変化しました。

歴史の概要

第一期：趙爾豊による建省準備（1905-1911年）

1905年、四川総督の趙爾豊はチベットへの侵攻を開始し、カム地方の支配権を確立しようとしました。彼は地元の諸侯を圧倒し、所定の地域に新たな行政機関を設けましたが、辛亥革命による混乱でその基盤は急激に崩れました。

第二期：川辺特別区（1911-1939年）

革命後、西康は「川辺特別区」として位置づけられ、完全な治理を受けるには至りませんでした。チベットのガンデンポタンは失地回復を試みていましたが、中国の支配を嫌うカム諸侯の抵抗に直面しました。

第三期：西康省設立（1939-1949年）

日中戦争勃発に伴い、実効支配の範囲を拡大する必要が生じ、1939年に西康省が設立されました。この期間、中国国民党の支配下で区域が設定され、地元の文化との衝突を引き起こしました。

第四期：西康省蔵族自治区期（1949-1955年）

1949年、中国人民政府の樹立を受けて、1950年には「西蔵和平解放」が行われ、翌年には西康省蔵族自治区が設立されました。しかし、1955年には廃止され、その地域は四川省に組み込まれました。

地理的特性

西康省の省都は康定（ダルツェド）で、青海省、甘粛省、四川省、雲南省、ビルマ、インド、西蔵に接しています。現在の四川省のカンゼ・チベット族自治州やアバ・チベット族チャン族自治州、さらには涼山イ族自治州や攀枝花市も区域に含まれます。この地域は四川盆地の西端から南端に及び、チベットのカム地方とも密接に関連しています。

人口統計

1947年の統計によれば、西康省の人口は165万1132人でしたが、1954年の第一次全国人口普査では338万1064人に増加しました。このように急激な人口変動は、地域の変遷と政治的動乱を反映しています。

行政機関とその歴史

初期の西康省には数多くの行政長官が存在しました。特に、川辺鎮撫使や経略使として幅広い権限を持つ尹昌衡が登場し、さまざまな役割を果たしました。次に、劉文輝が西康省の省主席として、政治的統一を図る重要な役割を果たしました。

県級行政区画

西康省は名目的に48の県と2つの設治局を管轄していましたが、実際にはその全域を効果的に掌握していた期間はありませんでした。各県は地元の文化やチベット文化と密接に関連しており、多様な民族が共生する地域でした。

参考文献

西康省の歴史や文化について興味がある方には、A. Gruschkeの『The Cultural Monuments of Tibet’s Outer Provinces』や、Tsering Shakyaの『The Dragon in the Land of Snows』などの文献をお勧めします。これらの文献はこの地域の深い理解を助けるでしょう。

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