西方寺 (京都市左京区)

西方寺

西方寺（さいほうじ）は、京都市左京区にある浄土宗の寺院です。山号を願海山と称し、本尊には阿弥陀如来を祀っています。この寺の開基（創立者）は、平安時代末期の左大臣であった大炊御門経宗と伝えられています。西方寺は、藤原氏一門の大炊御門家、宇多天皇の一門である綾小路家、五辻家の菩提寺として、歴史的に重要な役割を果たしてきました。

歴史

西方寺の起源は、浄土宗の開祖である法然上人のもとで出家した大炊御門経宗が、文治5年（1189年）に71歳で亡くなった際に、彼の居館であった一条新町の館を寺としたことに始まります。その後、寺は両替町竹屋町上がる西方寺町へと移転しましたが、豊臣秀吉の都市計画によって寺町椹木町東に移されました。しかし、宝永5年（1708年）の宝永の大火により焼失し、現在の場所に移転しました。

文化財

西方寺は、多くの文化財を所蔵しており、その中でも特に重要なものが以下です。

重要文化財

木造阿弥陀如来坐像
像高236.0cmの寄木造で、丈六の坐像です。寺伝によれば、この像は平安時代の承保2年（1075年）に白河天皇が建立した法勝寺の遺仏とされています。光背は本尊とは別に造られており、通常の千仏光背よりも多くの化仏を持つため、「三千仏光背」と呼ばれています。

その他

豊臣秀吉坐像
像高81cmの寄木造で、束帯姿で烏帽子をかぶり、右手に笏を持って胡座をかいた公卿姿の秀吉像です。2010年（平成22年）の解体修理の際、頭部から墨書、脚部から朱書の文書が発見され、1599年（慶長4年）に七条仏師康住法印によって作成されたことが判明しました。

衣通姫地蔵
門をくぐってすぐ北の地蔵堂に祀られています。寺伝によると、允恭天皇の寵妃であった衣通姫が七歳の時に疫病で亡くなったものの、冥土で地蔵を拝んで蘇生したとされ、その報恩のために造られたと伝えられています。洛陽四十八カ所25番の霊場です。

関連項目

法然上人
法然上人絵伝には、大炊御門経宗の臨終の床を法然上人が見舞う場面が描かれています。
藤原経宗
西方寺 (曖昧さ回避)


西方寺は通常非公開ですが、京都非公開文化財特別公開などの特別な機会に公開されることがあります。その際には、これらの貴重な文化財を間近に見ることができます。

もう一度検索