綾小路家

綾小路家：雅楽の伝統と華族としての歴史

綾小路家は、悠久の歴史を誇る公家・華族の家系です。そのルーツは、名門宇多源氏にまで遡ります。公家としての家格は羽林家、華族としての家格は子爵家に位置づけられ、朝廷や日本の文化に多大な貢献を果たしました。

系譜と歴史の軌跡

綾小路家の始まりは、左大臣・源雅信の子孫である綾小路信有にまで遡ります。信有は権中納言にまで上り詰めた人物として知られています。彼の兄は、庭田家の祖である庭田経資でした。興味深いことに、兄弟で異なる家系の祖となったのです。

その後、綾小路家は権中納言を極官とする家系として栄えました。戦国時代には綾小路俊量が活躍しますが、その後、家系は一時中断します。慶長18年（1613年）、五辻家から綾小路高有が養子入りし、家名を再興しました。俊宗の代には権大納言を極官とするようになり、朝廷における地位を確固たるものにしました。

綾小路家は、雅楽との深い関わりでも知られています。特に、郢曲や和琴、箏、笛といった雅楽の演奏技術や知識は、兄弟家系である庭田家ではなく、綾小路家に受け継がれ、代々朝廷に仕える雅楽の師範家となりました。この伝統は、綾小路家の歴史において重要な役割を果たしました。

江戸時代の家禄は200石でしたが、明治維新後の華族制度成立に伴い、綾小路家も華族に列せられました。明治17年（1884年）の華族令施行により、五爵制が導入されると、綾小路家は旧堂上家として子爵位を授与されました。

明治維新以降と子爵家としての綾小路家

子爵位を授けられた綾小路有良は、宮内省に勤務し、侍従や雅楽部長などを歴任しました。その後、養子である護が十五銀行に勤務した後、貴族院の子爵議員に当選し、政治の世界でも活躍しました。護の代には、綾小路家の邸宅が東京市渋谷区幡ヶ谷にありました。

このように、綾小路家は、公家としての伝統を継承しながら、明治維新後も華族として、そして政治家として、日本の歴史の重要な場面に関わってきました。雅楽の伝統と華族としての地位、そして政治への参加という、多様な側面を持つ家系として、綾小路家は日本の歴史にその名を刻んでいます。

参考文献

浅見雅男『華族誕生 名誉と体面の明治』
小田部雄次『華族 近代日本貴族の虚像と実像』
華族大鑑刊行会『華族大鑑』
橋本政宣編『公家事典』
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧[[華族家系大成]]』
近藤敏喬編『宮廷公家系図集覧』

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