西村屋 (城崎温泉)

西村屋：城崎温泉の歴史を彩る老舗旅館

兵庫県豊岡市の城崎温泉に位置する「西村屋」は、江戸時代末期、安政年間に創業した老舗旅館です。株式会社西村屋が運営しており、趣の異なる2つの宿泊施設、「西村屋本館」と「西村屋ホテル招月庭」を中心に、関連事業を展開しています。

歴史と伝統

西村屋の歴史は、城崎温泉の歴史と深く結びついています。創業家は代々、城崎の名主を務め、4代目当主の西村佐兵衛と6代目当主の西村肇は、城崎町長としても活躍しました。この地で長く愛されてきた西村屋は、単なる宿泊施設ではなく、城崎の歴史と文化を今に伝える存在です。

西村屋本館

「西村屋本館」は、その歴史と建築美が評価され、登録有形文化財に登録されています。明治時代には、久美浜代官所城崎陣屋の払い下げを受け、現在の姿となりました。1925年の北但大震災で焼失しましたが、翌年には再建され、その伝統を受け継いでいます。また、別棟の「平田館」は、数寄屋建築の大家である平田雅哉氏が設計を手掛けたもので、その繊細な美しさは見る者を魅了します。

さらに、西村屋本館は、世界的に権威のあるホテルとレストランが加盟する「ルレ・エ・シャトー」にも名を連ねています。これにより、その質の高いサービスと料理は、国際的な評価を得ており、多くの外国人宿泊客にも支持されています。

西村屋ホテル招月庭

「西村屋ホテル招月庭」は、昭和45年に「西村屋城崎グランドホテル」として開業しました。城崎温泉で最大規模を誇るホテルであり、現在でも城崎温泉全体の約2割の収容能力を持っています。広々とした空間と、近代的な設備は、快適な滞在を約束します。

ロビーラウンジに面した日本庭園は、造園家・井上卓之氏の作であり、日本造園学会賞を受賞した名園です。四季折々の美しい景色を眺めながら、優雅な時間を過ごすことができます。

多様な事業展開

株式会社西村屋は、宿泊施設以外にも、レストラン事業を手掛けています。「西村屋フーズコム」は、神戸市や姫路市でレストランを経営しており、地元の方々にも愛されています。また、高齢者福祉事業にも取り組み、特別養護老人ホームの運営も行っています。

沿革

- 江戸時代安政年間：創業
- 明治時代：西村屋三代目当主が久美浜代官所城崎陣屋の払い下げを受ける（現在の「西村屋本館」）
- 1925年（大正14年）：北但大震災により「西村屋本館」焼失
- 1926年（昭和元年）：「西村屋本館」再建開始
- 1951年（昭和26年）：「株式会社西村屋」設立
- 1952年（昭和27年）：政府登録国際観光旅館（第31号）に登録
- 1959年（昭和34年）：大阪営業所開設
- 1960年（昭和35年）：西村屋本館「平田館」10室を増築
- 1970年（昭和45年）：「西村屋城崎グランドホテル」（現「西村屋ホテル招月庭」）新築開業（64室、350名収容）。ロビーラウンジに面する日本庭園は井上卓之の作で、日本造園学会賞を受賞
- 1993年（平成5年）：「株式会社西村屋城崎グランドホテル」を新「株式会社西村屋」に商号変更。旧「株式会社西村屋」は「株式会社ライフ西村屋」に商号変更
- 1995年（平成7年）：「西村屋城崎グランドホテル」を改装し、「西村屋ホテル招月庭」開業（100室、563名収容）
- 2006年（平成18年）：特別養護老人ホーム楽々むら「グループホーム＆ケアハウス」（城崎温泉楽々浦）開設
- 2015年（平成27年）：「西村屋本館大広間棟」が登録有形文化財に登録
- 2016年（平成28年）：「西村屋本館」が世界的権威のあるホテルとレストランで作る「ルレ・エ・シャトー」に加盟
- 2018年（平成30年）：「西村屋ホテル招月庭」耐震工事完成
- 2019年（平成31年）：「さんぽう西村屋本店」開店

施設

- 西村屋本館
- 西村屋ホテル招月庭
- さんぽう西村屋本店
- 大阪営業所

グループ会社

- 株式会社西村屋フーズコム