西武バス大宮営業所

埼玉県さいたま市大宮区三橋に位置する西武バスの主要営業所の一つです。さいたま市の中心部から、川越市、富士見市にかけて広がるエリアで路線バスを展開し、地域住民の日常生活や通勤・通学を支えています。最寄りのバス停は「西武車庫前（大宮営業所）」で、施設の玄関口となっています。同じ敷地には西武観光バス大宮営業所も併設されており、そちらでは高速バスや観光バスの運行を担当しています。過去にはふじみ野市、三芳町、所沢市といったさらに広範な地域まで路線網を有していました。

沿革

当営業所が管轄する路線の一部は、1941年2月25日に廃止された西武大宮線の鉄道代替バスとして運行を開始したことにルーツを持ちます。例えば、かつて大宮駅から現在の川越方面へ向かっていた系統は、当初は大宮駅から上江橋、川越駅を経由して本川越駅まで運行されていました。しかし、川越線の電化開業による列車増発や高速化、また国道16号の未整備区間における定時運行の困難さなどから、運行区間が現在の川越グリーンパークまでに分断されるなど、時代の変化に合わせて路線の形態が変化してきました。

主な現行路線

大宮営業所の路線網は、特に大宮駅西口を起点とする系統が中心です。主な路線群は以下の通りです。

大宮駅西口 - 西遊馬 - 川越グリーンパーク方面
大宮駅西口から三橋、西武車庫を経由し、西遊馬、川越グリーンパーク、青葉園、佐知川原へ向かう系統（大22, 大23, 大25）です。歴史ある路線であり、青葉園へのアクセス路線としても機能しています。彼岸などの混雑期には、経路の一部変更や臨時便の増発が行われることがあります。

大宮駅西口 - かみこ公園 - 中並木方面
大宮駅西口を循環する系統（大30）で、主に平日朝に運行されます。

大宮駅西口 - 水判土 - 指扇駅方面
大宮駅西口から中並木、水判土を経由し、指扇駅へ至る系統（大31）です。かつては西遊馬発着でしたが、指扇駅の整備に伴い1993年に乗り入れが開始されました。指扇駅ロータリーの広さの制約から、西遊馬の折返場で休憩を行うケースもあります。

大宮駅西口 - 藤橋 - 加茂川団地方面
大宮駅西口から中並木、三橋四丁目、藤橋を経由して加茂川団地や大宮南高校へ向かう系統（大32, 大33）です。比較的後から開設された系統ですが、地域住民にとって重要な移動手段です。

大宮駅西口 - 二ツ宮 - 馬宮団地 - ららぽーと富士見方面
大宮駅西口から水判土、二ツ宮を経由し、馬宮団地や、さらにはららぽーと富士見まで運行する系統群（大35, 大36, 大37）です。かつて自動車試験場へのアクセスを担っていましたが、現在は沿線住民や商業施設利用者によって広く利用されており、一部系統には深夜バスも運行されています。ららぽーと富士見開業に伴い、廃止されていた系統番号「大35」が復活しました。

大宮駅西口 - 中並木 - 大宮駅東口方面
大宮駅の東口と西口を結ぶ系統（大38）です。西武バスとしては珍しく大宮駅東口に乗り入れる唯一の路線ですが、現在は運行頻度が極めて少なく、土曜日または日曜日にわずか1往復のみの運行となっています。

大宮駅西口 - 市民医療センター入口 - 加茂川団地方面
大宮駅西口からかみこ公園、円阿弥を経由し、さいたま市民医療センターや加茂川団地、大宮南高校へ向かう系統群（大39, 大39-1, 大40, 大41）です。さいたま市民医療センターや加茂川団地への主要なアクセスを担っています。

大宮駅西口 - 円阿弥 - 北与野駅 - さいたま新都心駅方面
大宮駅西口から中並木、円阿弥を経由し、イオンモール与野、北与野駅を経てさいたま新都心駅西口へ向かう系統（新都11）です。さいたま新都心駅開業に伴い、北与野駅からの区間を延長して新設されました。近年、運行本数が減便傾向にあります。

大宮駅発着の各路線では、道路改修などに伴いバス停の移設や新設が行われた箇所もあります。特に「中並木」周辺や、治水橋付近では、近年に経路やバス停の配置が変更されています。

大宮駅以外では、北浦和駅を発着する路線も運行しています。

北浦和駅 - 埼玉大学方面
北浦和駅から埼玉大学へ向かう系統（北浦03, 南与01）で、国際興業バスとの共同運行です。南与野駅へ向かう系統も設定されており、通学・通勤時間帯を中心に運行されています。

北浦和駅 - 陣屋 - 大久保団地方面
北浦和駅から鈴谷、陣屋を経由し、大久保団地や大久保、浦和北高校、加茂川団地へ向かう系統群（北浦10, 北浦11, 北浦15）です。沿線に大規模団地が点在するため、運行本数が比較的多く設定されています。加茂川団地系統は、営業所への出入庫機能も兼ねています。

その他、さいたま市より委託を受け、さいたま市コミュニティバス（西区役所線）の運行も担当しています。

廃止・移管された路線

過去には、所沢方面への長距離路線など、現在よりも広範囲にわたる系統を運行していましたが、担当営業所の変更や廃止などにより姿を消しました。特に、大宮駅西口から所沢駅まで運行していた系統は、西武バスの一般路線として最長距離の歴史を持っていました。また、高速バス路線についても、かつて運行を担当していた系統の多くは、西武観光バスへの移管などを経て廃止されています。

車両について

一般路線車両は、いすゞ自動車製が配置車両の大部分を占めるという特徴があります。かつては日産ディーゼル（UDトラックス）製や、さいたま市の補助金を受けて導入されたCNGノンステップバスも運用されていましたが、現在は少なくなっています。2011年以降は三菱ふそう製のノンステップバスも導入され、一時期は主要国内4メーカーの車両が揃っていました。近年導入される新車は、フルカラーLED式の行き先表示器を搭載しており、視認性が向上しています。また、2020年頃からは西武バスの新たな標準塗装である「S-tory」デザインを纏ったいすゞ・エルガが投入されています。コミュニティバス用としては日野自動車製の小型車両が配置されています。

西武バス大宮営業所は、歴史的な背景を持つ路線網と、地域に根差した運行によって、埼玉県南部の主要都市における重要な公共交通機関としての役割を果たしています。

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