西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者

PEGIDA（ペギーダ）とは：西洋のイスラム化に反対する運動

「西洋のイスラム化に反対する欧州愛国者たち」（PEGIDA）は、2014年10月20日にドイツのドレスデンで始まったデモ活動を起源とする政治団体です。ドイツ語では「Patriotische Europäer gegen die Islamisierung des Abendlandes」と表記され、その頭文字をとってPEGIDA（ペギーダ）と略されます。

組織と構成

ペギーダは、外国人嫌悪運動家として知られるルッツ・バッハマンによって主宰されました。組織は多様な国籍、宗教、職業を持つ12名で構成されています。その中には、過去に人種差別発言で辞職した元市議会議員など、右翼活動家も含まれています。

ドレスデン工科大学の政治学者ハンス・フォアレンダーによる調査では、ペギーダのデモ参加者の典型的な層は、ザクセン州の平均収入をやや上回る中流階級であり、高学歴で安定した職業を持つ48歳の男性であるとされています。参加者の多くは特定の宗教団体に所属せず、特定の政党を支持していません。参加の動機としては、政治への不信感、メディア批判、そしてイスラムを前提とした移民・難民への不満が挙げられています。

バッハマンの辞任

ルッツ・バッハマンは過去にFacebook上で難民を差別する発言を繰り返し、アドルフ・ヒトラーを連想させる写真を投稿したことで、民衆扇動罪の疑いで捜査を受けました。この問題を受け、2015年1月21日に代表と幹部委員会を辞任しました。

ペギーダの活動主旨

ペギーダは以下の様な主張をしています。

戦争難民や政治・宗教上の理由で追われた人々を保護することを支持。
移民の同化の権利と義務を基本法に明記することを支持。
難民を非人道的な施設ではなく、分散された居住空間に提供することを支持。
亡命者を欧州全体で分散させ、すべてのEU加盟国に公平に負担させることを支持。
難民対応担当者の負担を軽減し、難民申請プロセスの迅速化を支持。
警察予算の引き上げと、移民・亡命者に対する非寛容政策への罰則を支持。
女性蔑視や暴力的な政治イデオロギーへの抵抗を支持。
スイス、オーストラリア、カナダ、南アフリカの移民政策を模範とすることを支持。
ユダヤ・キリスト教に基づく西洋文化の維持と保護を支持。
シャリーア裁判所や宗教警察などの二重制度に反対。
ジェンダー・メインストリーミングに反対。
宗教的・政治的な過激主義、ヘイトスピーチに反対。

活動の展開

ペギーダは、2014年10月27日にドレスデンで500人の賛同者を集めたデモをきっかけに、ドイツ国内で注目を集めました。その後、毎週月曜日に「夜の散歩」と称して市街を行進し、2014年12月22日には17,500人が参加する規模に拡大しました。

ケルン、ボン、ベルリン、ミュンヘンなどの都市でも類似の動きが起こり、反対運動も活発化しました。ペギーダは当初、大手メディアを情報操作をしていると批判し、インタビューを拒否するよう呼びかけていましたが、後にメディア戦略を転換し、インタビューや討論番組に出演するようになりました。

評価と批判

ペギーダは排外主義運動の一環として見なされることが多く、右翼団体であると定義する研究者もいます。ザクセン州憲法擁護庁は、当初はネオナチ団体の組織的な関与はなかったものの、後に右翼団体がデモへの組織的な参加を呼びかけているとして、関連を監視しています。

ドイツの首相や閣僚は、ペギーダを名指しで否定する発言を繰り返しています。また、多くの文化人やスポーツ選手もペギーダに反対する姿勢を示しています。

他の政党との関係

ペギーダと既存政党との関係は複雑です。「ドイツのための選択肢」（AfD）は、党内でペギーダへの対応が分かれており、接近に反対する幹部もいれば、支持者と見なす幹部もいます。ドイツ国家民主党（NPD）は、党旗を掲げるなどの目立った活動はしていませんが、メンバーが積極的に参加し、フェイスブックでペギーダへの参加を呼びかけるなど後方支援を続けています。

国外への波及

ペギーダの運動は、ノルウェー、デンマーク、ベルギー、スコットランド、チェコ、スウェーデン、オーストリア、スイス、スペインなど、ヨーロッパ各地に広がりを見せています。

抗議活動

ペギーダの活動に対し、ドイツ各地で大規模な抗議活動が行われています。これらの抗議活動は、ペギーダの拡大を阻止する上で一定の効果を発揮しています。

イスラームからの反応

ドイツ・イスラーム中央評議会議長は、ペギーダをイスラームを否定する人種差別主義者と非難しています。また、イスラム過激派からは、ペギーダを攻撃目標とする脅迫的な発言も出ています。

脅迫と占拠禁止命令

ペギーダの主宰者であるバッハマンに対する脅迫を受け、ザクセン州警察は2015年1月19日にドレスデン市内での集会を禁止する通達を発令しました。

ペギーダは、その活動内容や思想において、多くの議論を呼んでいます。今後の動向が注目されます。

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