西谷藩

西谷藩の歴史

西谷藩（にしやちはん）は、江戸時代中期に設立された短命の藩であり、徳川綱吉の治世において能登国に存在しました。1698年、藩主水野勝岑が早世し、無嗣のために備後福山藩が改易されるという事態が発生しました。この際、徳川家の譜代名門である水野家から水野勝長が名跡を継承し、1万石が与えられ藩が成立しました。

水野家の改易と名跡継承

元禄11年（1698年）、水野勝岑の早逝により備後福山藩は改易され、資産は収公に至りました。しかし、水野家は徳川家に貢献した名門であったため、勝長の名跡継承が認められました。勝長は当時20歳であり、父は1500石を持つ旗本の水野勝直です。福山藩での騒動が起こった際も水野勝寿が後継を狙う動きがありましたが、勝長が藩主となりました。

西谷藩の立藩

水野勝長が与えられた知行地は、能登国の幕府領の一部であり、4郡（鹿島、鳳至、羽咋、珠洲）にまたがる46か村に分かれていました。この地域は、以前は陸奥窪田藩の飛び地領であったため、幕府の管理下に置かれていました。

藩名の「西谷」は、羽咋郡の「西谷内」という地名に由来しています。ここは中世において西谷内城が所在し、能登守護畠山氏に属する有力家族の本拠でしたが、加賀藩領であったため、水野家が陣屋を設けたかどうかは不明です。実際には、幕府が下村の陣屋を水野家に貸し付けたのではないかとも言われています。

藩主水野勝長の動向

水野勝長は、元禄12年（1699年）から徳川綱吉の小姓として仕官し、綱吉の寵臣として地位を高めました。そのため、藩主として自らの領国に赴くことはなく、元禄13年（1700年）には結城藩に異動させられ、西谷藩は廃藩となりました。所領は再度幕府の手に戻り、その後の能登国には新たな藩が設立されることはありませんでした。

後史と藩主のその後

水野勝長は、その後も上総や下野などの地域において合計1万8000石にまで加増され、さらには結城城を再築する許可を得ました。彼は25歳で早世し、実弟水野勝政が家を継ぎます。水野家は以降、結城藩主として幕末まで存続しました。

まとめ

西谷藩は短期間の存在でしたが、幕府領の中で立藩し、名門水野家の血脈を受け継いだ重要な藩でした。水野勝長の存在は、藩の歴史に大きな影響を与え、その後の結城藩の成立へとつながっていきました。

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