西近江路

西近江路概説

西近江路（にしおうみじ）は、滋賀県から越前国を結ぶ重要な街道であり、古代および中世の北陸道と呼ばれる道筋の一部です。この道は、北国街道や北国海道、さらには北国脇往還や北国往還、北国脇道などとも称され、時代や地域によって名称が異なることがあります。1887年には県道に指定され、その名称が広く定着しました。

歴史的背景

西近江路は、歴史的に見ても重要な役割を果たしてきました。古くは都と北陸を結ぶ交通路として、多くの人々が往来していました。特に壬申の乱や藤原仲麻呂の乱、さらには治承・寿永の乱（源平合戦）や織田信長の朝倉攻めといった歴史的な軍事活動において、大軍がこの道を通って移動した記録があります。また、平安時代には遣渤海使がこの道を利用しており、文化的な交流の一環としても重要でした。

経路

古代の経路

古代の西近江路は、小関越えから始まり、穴多駅（大津市穴太）、和邇駅（大津市和邇中浜）、三尾駅（高島市安曇川町三尾）、鞆結駅（高島市マキノ町小荒路）、愛発関（敦賀市疋田か）などを経由していました。

近世の経路

近世になると、大津宿・札の辻（大津市札の辻）、衣川宿（大津市衣川）、和邇宿（大津市和邇中）、木戸宿（大津市木戸）、北小松宿（大津市北小松）、河原市宿（高島市新旭町安井川）、今津宿（高島市今津町今津）、海津宿（高島市マキノ町海津）、そして敦賀宿（敦賀市元町）といった宿場町を経由する重要な路線となりました。この海津から敦賀までの七里半の区間は「七里半越（七里半街道）」とも呼ばれ、この区間のみを指して西近江路と呼ぶこともあります。

周辺の文化財

西近江路には数多くの文化財や歴史的な見どころが点在しています。以下にいくつかの主要な文化財を紹介します。

• - 園城寺：国宝の金堂や新羅善神堂をはじめ、多くの重要文化財を有する寺院です。
• - 近江大津宮錦織遺跡：国の史跡として指定されている場所です。
• - 唐崎神社：県指定の史跡で、「唐崎夜雨」としても知られています。
• - 聖衆来迎寺：国宝の絹本著色六道絵を所蔵しており、他にも重要文化財が多数存在しています。
• - 今津のヴォーリズ建築群：旧百三十三銀行今津支店や今津教会会堂など、近代的な建築物が残るエリアです。

現在のルート

現在の西近江路は、以下の国道および県道によって構成されています：

• - 国道161号
• - 滋賀県道313号仰木本堅田線
• - 滋賀県道558号高島大津線
• - 滋賀県道335号今津マキノ線
• - 滋賀県道287号小荒路牧野沢線

このように、西近江路は古代から現代に至るまで、多くの歴史的な出来事と文化財を有する重要な交通路であり、今なおその歩みを続けています。

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