西部大開発

西部大開発の概要

西部大開発は、中国において東部沿海地区の急速な経済成長に対抗するため、内陸の西部地域を発展させるために設計された政策です。この政策は、2000年3月に全国人民代表大会で正式に承認され、主に「西電東送」、「南水北調」、「西気東輸」、「青蔵鉄道」という4つの主要プロジェクトを基盤に展開されています。

経済格差の背景

1990年代からの改革開放政策により、中国東部沿海地域は急成長を遂げましたが、それに対して内陸部の経済は発展が遅れ、両地域の間に大きな所得格差が生まれました。この問題を解決するため、江沢民政権は2000年に西部開発指導小組を設置し、国務院による西部大開発計画をスタートしました。これにより、鉄道や道路網の整備、投資環境の向上、科学教育の発展を目指した優遇政策が実施されました。

政策の展開と成果

この政策は、胡錦涛政権下にも引き継がれ、長期的な成長戦略として位置づけられました。例えば、2010年には今後10年間の計画が確認され、2015年までにはGDPをさらに倍増させる目標も掲げられました。温家宝首相は、開発開始以来9600億元（約12兆円）の国家予算が西部地区に投じられ、6000億元以上の投資を伴う36の重要プロジェクトが立ち上がったことを発表しました。この中央政府の投資によって、西部諸地域のGDP成長率は1999年の7.2％から、年々増加し、2004年には12.0％に達しました。

西部地域の構成

中国の西部地域には12の省や自治区が含まれ、国土全体の約3分の2に及ぶ広大な地域が広がっています。これらの地域は多様な鉱物資源や豊富な水力資源を抱え、開発が期待されています。また、少数民族の文化が色濃く反映された観光資源も豊富です。

外資誘致のための政策

西部地区への外資誘致を促進するため、各種の優遇措置が設けられました。企業所得税率は最初の3年間15％に下げられ、輸出企業の場合はさらに10％となります。また、西部地区は沿海地域と同等の権限が与えられ、小規模な外資プロジェクトの迅速な許可が可能となっています。

エネルギー資源の開発

西部における豊富な水力資源を利用した電力輸送プロジェクトは続々と進行中で、発電能力は3600万キロワットに達しています。さらに、西部で生産される天然ガスを東部に送るためのパイプラインも整備され、すでに商業運営が始まっています。特に新疆では大規模な油田開発が進行中です。

インフラ整備と交通網の構築

連雲港と蘭州を結ぶ隴海線やチベットと青海を結ぶ青蔵鉄道など、新たに約60の重点インフラプロジェクトが立ち上げられ、8500億元の投資が行われています。青蔵鉄道に関しては、海抜4000メートル以上の高地に鉄道を建設するという困難な挑戦がなされています。

科学技術の振興

陝西省の関中平原では、高度なテクノロジー産業の育成に取り組むために、多くの開発区や産業団地が設置されています。これにより、電子産業やバイオテクノロジー、航空宇宙産業が大きく発展することが期待されています。

輸出と貿易の拡大

西部地域の都市では、ロシアや中央アジアの諸国との貿易を促進するためのイベントが開催されており、貿易量は増加しています。また、中国人民銀行も西部への金融支援を強化し、貧困地域の教育や人材育成に取り組んでいます。長期的な発展のためには、教育の充実が欠かせません。

支援政策の重要性

国務院は、都市間の連携を強化し、経済的に発展した地域が西部地域を支援する体制を整えています。これにより、持続可能な経済成長が期待され、長期的には中国全体のバランスを取る役割を果たすことが求められています。

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