西部州 (ナイジェリア)

西部州（ナイジェリア）

西部州は、かつてナイジェリア連邦の南西部に位置していた広大な連邦構成州です。その行政の中心は、歴史的都市であるイバダンに置かれていました。この州は、1967年までは「Western Region」として、それ以降は「Western State」として存在しました。

歴史的背景と起源

西部州の淵源は、ナイジェリアがイギリスの植民地支配下にあった時代に遡ります。1930年代、イギリスは南部ナイジェリア保護領の西部に一つの行政区画を設けました。これが後の西部州の基礎となります。この地域は、おおよそニジェール川の西側、そしてロコジャより南側に広がる一帯を占めていました。ナイジェリアの独立運動が高まる中、この地域の代表として、著名な政治家であるオバフェミ・アウォロウォ氏が初代の現地人首相に選出されました。

独立後の連邦制と変動

1960年にナイジェリアが独立を達成すると、北部州、東部州と並び、西部州は新たな連邦の主要な構成州の一つとなりました。この時期には、州の首相はサミュエル・アキントラ氏が務めることになります。

しかし、多民族国家であるナイジェリアにおいて、西部州の民族構成は政治的な課題となりました。州の人口の多数をヨルバ族が占めていたため、州内の他の民族グループ、特に東部に居住していた旧ベニン王国のベニ族やデルタ地域の人々の間には不満が存在しました。こうした民族間の緊張に対応するため、1963年、州の東部に位置するベニン県とデルタ県が分離され、新たに中西部州が創設されました。

分割と消滅

1960年代後半、ナイジェリアは度重なるクーデタとそれに続く内戦（ビアフラ戦争）という激動の時代を迎えます。こうした政情不安の中で、国の行政機構も見直されることとなります。1967年にナイジェリアが12州制へと移行した際、従来の西部州はさらに分割されました。大都市ラゴスとその周辺地域がラゴス州として分離され、残りの広大な地域が「新西部州」(Western State) となりました。

ビアフラ戦争終結後、ナイジェリアの連邦政府はさらなる行政区画の再編を進めます。1976年、国が19州制へと移行するに伴い、新西部州は完全に解体されることとなりました。その領域は、新たに設置されたオグン州、オンド州、そしてオヨ州に分割吸収され、これをもって「西部州」という行政単位は歴史の中にその姿を消しました。イバダンは、この最終的な分割の後もオヨ州の州都としてその役割を担い続けることになります。

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