ベニン王国

ベニン王国：奴隷貿易と繁栄、そして滅亡の歴史

ベニン王国は、12世紀から1897年までナイジェリア南部に存在した、強力な王国でした。現在のベニンシティを首都とし、黄金時代にはギニア湾岸を代表する大都市として栄えました。現在のベナン共和国とは、国名こそ同じですが、地理的にも歴史的にも全く関係ありません。

建国とヨルバとの関係

ベニン王国は、エド人によって建国されました。西隣に位置するヨルバ人が建国した国家ではありませんでしたが、オドゥドゥワ王による建国神話と共通点があり、イフェの聖王（オニ）による認証を受けるなど、ヨルバ諸国との強い結びつきを持っていました。これは、政治的・宗教的な影響を示唆しています。

黄金時代とヨーロッパとの交易

15世紀のエウアレ王の治世は、ベニンの黄金時代でした。1485年にはポルトガル人が到達し、西欧との交易が始まりました。ベニンは海岸線に近接していたため、交易に有利な立地条件に恵まれていました。胡椒、奴隷、象牙などをヨーロッパに輸出する一方、火器を輸入して勢力を拡大しました。16世紀には、リスボンに遣欧使節を送り、ポルトガル王から宣教師を受け入れるなど、活発な外交活動も行っていました。

衰退とイギリスとの衝突

18世紀に入ると、西方のオヨ王国が台頭し、奴隷貿易の中心がダホメ[[王国]]やアシャンティ[[王国]]に移ると、ベニン王国は衰退しました。しかし、19世紀にはパームオイルの輸出により、一時的に勢力を回復しました。しかし、この回復は束の間でした。1897年、イギリス副領事ジェイムズ・フィリップスがベニンの併合を企て、国王オヴォンラムウェンに退位を迫ったことが、悲劇の始まりとなります。オヴォンラムウェン王はフィリップスらを殺害し、イギリスの怒りを買いました。

滅亡とベニン・ブロンズ

イギリスは、報復としてサー・ハリー・ローソン率いる軍隊を派遣、ベニン王国を征服しました。ベニンシティは焼き払われ、多くの文化財が破壊・略奪されました。その中には、世界的に有名なベニン・ブロンズも含まれており、現在も世界中の博物館などに散逸しています。オヴォンラムウェン王の死後、イギリスはベニン王室の復活を許しましたが、実権は握っていませんでした。現在でも、ベニン王家は住民から尊敬されています。

美術と返還問題

ベニン・ブロンズは、イギリスの他にフランスなどにも流出しています。近年、フランスはナイジェリアへの返還を表明するなど、返還問題が大きな注目を集めています。これらの美術品は、ベニン王国の豊かな文化と歴史を象徴するものであり、その返還は、かつての植民地支配の負の遺産と向き合う上で重要な意味を持っています。

ベニン王国は、奴隷貿易という暗い側面も持つ一方、独自の文化や芸術を築き上げた歴史を持つ国でした。その歴史は、現代社会に多くの示唆を与えてくれるでしょう。

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