西鉄500形電車 (鉄道)

西鉄500形電車の概要と歴史

西鉄500形電車は、西日本鉄道（西鉄）が運行していた電車の一種で、特に1942年から運行を開始しました。この形式の電車は、大牟田線を走る急行列車用に設計され、その年の10月28日に初めて運行されました。これは西鉄設立後、初めて製造された新型車両でもあったのですが、実際には九州鉄道時代に発注されたものでした。また、1948年には中間車を追加し、3両編成に改造されることで、輸送力の向上が図られました。

設計と特徴

この電車の大きな特徴は、連接台車が採用されている点です。連接台車は、従来の台車とは異なり、車両間の接続部分に可動性を持たせることで、走行性能を向上させる技術です。これにより、500形は日本初の高速鉄道用連接車両と見なされることができました。台車には、編成の両端に設置された動力台車があり、各台車には115kWの電動機が2つずつ取り付けられていました。これにより、高速走行を実現しました。

車体のデザインも特異で、前面は非貫通型であり、3枚の窓が特徴的でした。側面は片側に2つの扉があり、先頭車は全長16メートル、中間車は12.7メートルでした。また、運転台に入るには客室からアクセスする形式で、最前列には前面展望が可能な座席も設けられています。この設計から、鉄道ライターの徳田耕一によって「日本初の前面展望式高速電車」と評価されています。

初期の座席は転換クロスシートでしたが、1948年の中間車追加以降、ロングシートに変更されました。こうした設計は、乗客の快適さを考慮したものでした。

運用とその後

西鉄500形は、1943年の運行開始以降、福岡と大牟田を結ぶ急行列車で運用されました。1948年には中間車を追加することで編成を強化し、ロングシート化も進められます。1954年には歯車比が変更され、普通列車用の仕様に改められつつも、急行でも使用されました。しかし、1957年には1000形が登場したため、急行から外され、以降は普通列車専門に運用されることになりました。

1960年には運用番号の付け方が変更され、各車両に個別の番号が付与されるようになります。これにより、番号末尾にA・B・Cの識別記号が追加され、運用管理が効率化されました。

1950年代には、車両の改修が行われ、車内照明の蛍光灯化や乗務員室扉の設置、扉窓の改良などが行われましたが、1974年5月には運用を終了しました。この形式の電車は、西鉄の中でも比較的短い運用期間であったと言えます。

影響

西鉄500形の成功は、日本の高速電車における連接車の重要な先例となり、以降の車両開発にも多大な影響を与えました。たとえば、鉄道省にいた技術者の山本利三郎は、この500形を参考にして連接構造の高速電車編成を考えており、結果的に1957年には小田急電鉄において連接式特急電車SE車が開発されました。この車両の成功は、後の新幹線の開発にも寄与することとなりました。

また、西鉄自身は以降の高速電車に連接構造を採用しなかったものの、1953年以降に北九州線や福岡市内線に連接車両を導入し、輸送力を大幅に向上させました。これらの影響は、他の鉄道会社にも波及し、広島電鉄などでも採用事例が見られました。

参考文献

• - 『鉄道ファン』（交友社）
• - 『鉄道ピクトリアル』（電気車研究会）

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