西鉄600形電車 (軌道)

西鉄600形電車

西鉄600形電車は、かつて北九州線で運行されていた路面電車であり、西日本鉄道が所有していました。このシリーズは1950年から1953年にかけて製造され、北九州線が廃止される2000年まで活躍していました。

概要と開発背景

600形電車は、北九州線の開業時から在籍していた木製電車の老朽化に対応するために設計されました。これにより、従来の車両を一新し、より快適な運行を実現することを目的としていました。製造には新潟鐵工所、川崎車輌、近畿車輛の3社が携わり、両運転台を持つ単行運転に適したデザインが特徴的です。

車両の構造

600形の車体は、雨樋が屋根上に配置されたスタイルで、66形電車のデザインが引き継がれました。また、両側面の車端に2つの乗降扉が設置されており、車内はロングシートになっています。製造元により異なる台車が用いられ、新潟鉄工所および川崎車輌製のものはK-10系、近畿車輛製のものはFS-51形が搭載されています。全車両には東洋電機製造のTDK-524-2C型（45 kw）の主電動機が装備されており、主要な動力源となります。

改造と更新

600形は営業運転開始以降、多くの改造が行われました。1954年には集電装置をポールからビューゲル、さらに1958年からはパンタグラフへと変更され、その後はこの方式が維持されました。また、1958年以降に行われた更新工事では、車内照明の蛍光灯化や窓枠のアルミ製部品への交換が行われました。

1970年代にはワンマン運転に対応した改造が実施され、運転効率を大幅に向上させました。1980年代には冷房装置の搭載に伴う改造が行われ、快適な乗車環境へと進化しました。1986年から1989年にかけての冷房化改造では、屋根上に冷却機ユニットや専用電源を取り付ける工事が行われ、外装デザインの変更も伴いました。

運用実績

最初の営業運転は1951年で、50両が投入されました。600形は、1950年代の急増する利用客に応じて活躍し、1960年代以降はワンマン化改造を経て主力車両としての地位を確保しました。1985年の第一次廃止時には4両が廃車となりましたが、1992年の第二次廃止には37両が一斉に廃車となり、少数の冷房車両だけが残留しました。2000年11月には最終的に7両が在籍していたが、同年の北九州線の完全廃止に伴い姿を消しました。

保存と転用

600形の一部は、北九州線廃止後も保存されました。特に621は、北九州線車両保存会に引き渡され、香椎花園の「レトロ電車パーク」などで静態保存されています。また、611についても廃止後に幼稚園で保存されており、現在も修復作業が継続されています。加えて、主要機器や台車は他の鉄道事業者へ譲渡されたり、流用されたケースも見られます。

600形電車は、北九州の鉄道史において重要な存在であり、その運行や改造の歴史は多くの鉄道ファンに愛されています。

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