見上入道

見上入道（みあげにゅうどう）

見上入道は、新潟県佐渡市に伝わる妖怪で、見越し入道の一種とされています。主に夜道に現れ、人を驚かせたり、危害を加えたりすると伝えられています。

特徴

見上入道は、夜中に小坂路を登る人の前に、小坊主のような姿で現れるとされています。人が見上げると、どんどん背が高くなってゆき、最終的には見ている人が後ろに倒れてしまうほど巨大化するといわれています。しかし、「見上入道、見越した」と唱え、地面に打ち伏せると、姿を消してしまうと伝えられています。

各地の伝承

佐渡島には、見上入道に関する様々な伝承が残っています。

羽茂町（現佐渡市）：辻堂坂という場所に現れる見上入道は、旅行者から食べ物や金品を奪うとされていました。
両津市歌見（現佐渡市）：昼でも暗い木々が生い茂る場所に「見上げ岩」という大岩があり、その岩が見上入道に化けたと伝えられています。旅の行者がこの入道に遭遇した際、「見上入道、見越した」と唱えて杖で叩きつけたところ、入道は消え去ったそうです。その後、岩の上に地蔵を祀ったところ、入道は現れなくなったといいます。
赤泊村（現佐渡市）：見上入道は夜の通行人を押し潰して殺していましたが、ある時誤って谷底に落ちてしまいます。助けを求めた見上入道に対し、ある人が「もう人を襲わないこと」「この地を離れること」を条件に助けたため、その地には二度と現れなくなったとされています。その谷は後に「入道沢」と呼ばれるようになったそうです。
畑野町（現佐渡市）：見上入道に出会った人が、「この前に会った見上入道はもっと大きかった」などと挑発したところ、見上入道はどんどん巨大化していきました。しかし、それに伴い足が細くなっていったため、棒で足を叩いたところ、激しい音と共に倒れたという話が残っています。

類似の妖怪

見上入道は、見越し入道という妖怪と特徴が似ています。見越し入道も、人が見上げると背が伸びるという性質を持っており、これらの妖怪は、人間の心理的な恐怖や、夜道の不安感から生まれたものと考えられています。

現代における見上入道

妖怪漫画の大家、水木しげるの代表作『ゲゲゲの鬼太郎』には、青坊主という妖怪が登場しますが、これは見上入道とは全く関係がありません。名前や姿が似ているものの、両者の間には直接的な関連性はないと考えられています。

見上入道は、佐渡島の豊かな自然と、そこに住む人々の想像力によって生まれた、ユニークな妖怪です。その伝承は、現代においても語り継がれ、佐渡の文化を彩る要素の一つとなっています。

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