見津車庫

見津車庫（みづしゃこ）

神戸電鉄の見津車庫は、兵庫県神戸市西区押部谷町木津に設けられた同社の重要な車両基地です。この施設は、1984年10月7日に運用を開始しました。規模としては、神戸電鉄が有する車両基地の中で、鈴蘭台車両基地に次ぐ大きさを誇ります。見津信号場に隣接しており、列車運行上の要衝の一つでもあります。

施設と機能

見津車庫の敷地内には、複数の線路や設備が配置されています。具体的には、車両を一時的に留め置くための留置線が7本設けられています。さらに、線路の状態を維持するためのモーターカーを格納する保守用車庫や、列車の車輪を削って整形する転削線を含む、軌道保守に関する重要な設備もこの車両基地内に集約されています。日々の列車運用においては、特に昼間時間帯にその機能が発揮されます。例えば、鈴蘭台駅で終点となる列車の一部は、乗客を降ろした後、ここ見津車庫まで回送されます。そして、基地内で折り返しの準備を行い、再び鈴蘭台駅始発の上り列車として運用に戻されます。このように、見津車庫は車両の留置や保守を行うだけでなく、列車運行における引き上げ線としての役割も重要なものとなっています。

建設計画の概要

見津車庫の建設にあたって当初計画された概要は、以下の通りです。

敷地面積: 約30,500平方メートル
主要施設: 工場棟 約6,700平方メートル、検車庫棟 約3,000平方メートル
線路配置: 本線への出入庫線 1本、車両留置線 7本、工場への出入庫線 1本、検車線 5本、洗車線 1本
車両収容能力: およそ80両
検査能力: 計画では、列車検査を1日に150両、月検査をひと月に200両、重要部検査と全般検査をそれぞれ1年に90両ずつ実施することが想定されていました。
総工事費: 計画段階での総工費は約70億円と見積もられていました。

これらの計画に基づき建設された見津車庫は、神戸電鉄の車両運用と保守を支える基幹施設としての機能を果たしています。

イベントでの活用

見津車庫は、鉄道ファン向けのイベント会場としても利用されています。特に、神戸電鉄が毎年秋に開催している「神鉄トレインフェスティバル」では、主要な会場の一つとして車両撮影会が実施されています。この取り組みは、2010年10月3日に開催された「神鉄トレインフェスティバル2010」で初めて行われました。この年のイベントでは、メイン会場である鈴蘭台車両基地から見津車庫まで、「トレフェス列車」と名付けられた専用列車に乗車して来場者を輸送しました。撮影会場となった見津車庫には、神戸電鉄の主力車両である5000系、3000系、1000系に加え、当日のトレフェス列車に使用された6000系が並べられ、多くの鉄道ファンがカメラを向けました。また、定期運用から外れている休車中の車両や、普段はあまり目にすることのない作業用のモーターカーなども特別に公開され、来場者の関心を集めました。以降も、毎年開催される神鉄トレインフェスティバルにおいて、見津車庫は車両撮影会会場として継続的に開放され、多くの鉄道愛好家に親しまれています。このイベントを通じて、普段は関係者以外立ち入ることのできない車両基地の内部や、様々な形式の車両が間近で公開される貴重な機会が提供されています。

見津車庫は、日々の安全な列車運行を支える保守・管理拠点であると同時に、地域住民や鉄道ファンにとって親しみのあるイベントスペースとしても機能しています。

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