見返り柳

見返り柳とは

見返り柳とは、遊郭の出入り口付近に植えられた柳のことで、特に有名なのは、吉原（東京）と丸山（長崎）のものです。これらの柳は、遊郭を訪れた客が、帰る際に名残惜しさから振り返る様子に由来して「見返り柳」と呼ばれるようになりました。

吉原の見返り柳

吉原の見返り柳は、新吉原の入り口、日本堤から遊郭へ下る衣紋坂を下り、五十間道を通った場所にありました。この柳は、かつては「出口の柳」と呼ばれていましたが、後に「見返り柳」と呼ばれるようになったとされています。

この場所は、遊郭からの帰り道に、客が後ろを振り返り、しばし名残を惜しむ場所でした。見返り柳は、吉原の情景を象徴する存在として、多くの川柳にも詠まれています。

例えば、

「もてた奴 ばかり見返る 柳なり」
「見返れば 意見か柳 顔を打ち」
* 「こんな腰なりと出口に植て置き」

といった川柳が残されています。また、樋口一葉の『たけくらべ』や落語『明烏』など、文学作品にも登場しています。

吉原の見返り柳は、枯れるたびに新しい柳が植えられてきました。現在（2013年時点）は、東京都台東区千束4丁目の交差点にある柳が6代目にあたります。

丸山の見返り柳

長崎の丸山遊郭にも見返り柳がありました。丸山遊郭へ向かう際には、まず思案橋で「行こうか、やめようか」と悩み、思切橋で意を決めて遊郭へ入ったとされます。そして、帰り道に見返り柳のあたりで後ろを振り返ったと言われています。

丸山の見返り柳は、現在（2014年時点）は4代目で、1975年3月8日に植樹されたものです。カステラで有名な福砂屋の向かいにあり、根元には移設された思切橋の欄干跡の碑が設置されています。

その他の見返り柳

伊豆諸島の新島にも見返り柳が存在します。こちらは、罪人が刑の執行前に刑場近くの柳のあたりで振り返ったことに由来しています。このように、見返り柳という名前は、遊郭だけでなく、様々な場所で、別れや後悔の象徴として使われてきたことがわかります。

まとめ

見返り柳は、遊郭の文化を語る上で欠かせない存在です。特に吉原と丸山の見返り柳は、多くの文学作品や川柳にも登場し、人々の記憶に深く刻まれています。これらの柳は、遊郭という特別な空間における、人の複雑な感情を象徴する存在として、今もなおその姿を伝えています。

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