日本堤(にほんづつみ)について
日本堤は、
東京都台東区の北部に位置する町名で、一丁目と二丁目から構成されています。かつてこの地には「日本堤」と呼ばれる堤防が存在し、その名残が地名として今も使われています。この記事では、日本堤の地理、歴史、そして現在の様子について詳しく解説します。
地理
日本堤は、
台東区の北部に位置し、東は清川、南は東浅草、西は
千束、竜泉、三ノ輪一丁目、北は荒川区
南千住、三ノ輪二丁目と接しています。町域内には商店や事業所、
住宅が混在しており、特に東部には日雇い
労働者が集まる「山谷」の一画があります。この
地域には簡易宿泊所(通称「ドヤ」)が多く、2008年末時点で53軒が確認されています。また、北東端には泪橋
交差点があり、日本堤一丁目のほぼ中央には東西に伸びるいろは会
商店街があります。この
商店街は、
漫画『
あしたのジョー』の舞台となった泪橋に近いことから、同作品を利用した街おこしを行っています。かつては皮革業の
工場が多く見られましたが、現在は多くが移転・廃業しています。
歴史
日本堤の地理と地名の由来
かつて、この一帯は入間川(現在の
隅田川)の
氾濫原であり、石浜、真土山、浅草、鳥越岡の高台からなる
自然堤防の背後に広がる湿地帯でした。この湿地帯は度重なる洪水によってなかなか陸地にならず、
千束池や姫の池などとして当時の図絵に描かれています。
江戸の町も常に氾濫の危険にさらされていましたが、
江戸幕府による
治水事業により、1621年に浅草聖天町付近から箕輪浄閑寺にかけて堤防が築かれました。これが「日本堤」の名の由来の一つとされています。堤防は全国の諸大名によって約60日で完成したため、「日本堤」と呼ばれるようになったという説がありますが、記録が残っておらず確証はありません。また、土手が二本あったことから「二本堤」と呼ばれたという説もありますが、これも場所が特定されていません。
山谷堀はこの土手の北側にあり、上流部からの排水路として機能していました。
土手の上は見晴らしが良く、街道として利用され、「土手八丁」と呼ばれていました。
明暦の大火後、土手の南側に遊郭が移転し吉原となると、「吉原土手」とも呼ばれ、
江戸っ子たちで賑わいました。しかし、
関東大震災から4年後の1927年、日本堤は取り壊され、現在は土手通りとしてその痕跡を留めています。
町域名としての沿革
1936年、
浅草区の地方今戸町、浅草田町一・二丁目、
千束町三丁目、新吉原五十間町の一部、浅草東町の全域が合併して、
浅草区日本堤一・二丁目が成立しました。1941年には、さらに地方今戸町、新吉原五十間町、田中町の一部が合併して日本堤三・四丁目が成立しました。1943年には、
下谷区龍泉寺町の一部が三丁目、
下谷区三ノ輪町の一部が四丁目に編入されました。1947年には
台東区に所属し、浅草を冠称して浅草日本堤一丁目から四丁目となりました。1966年、東浅草一・二丁目、浅草五丁目、
千束四丁目を分離し、残った浅草日本堤三丁目の全部と四丁目の一部、浅草田中町二・三丁目の全部、浅草山谷三・四丁目、三ノ輪町の一部を併せて冠称を外し、日本堤一・二丁目となりました。同時に
住居表示が実施されました。
2020年12月1日現在の
世帯数と人口は以下の通りです。
世帯数:データなし
人口:データなし
小・中学校の学区
区立小・中学校に通う場合、学区は以下の通りです。
(ここに学区情報が入ります)
交通
鉄道
町域内には鉄道駅はありませんが、北側に南千住駅(JR常磐快速線・つくばエクスプレス・東京メトロ日比谷線)、北西側に三ノ輪駅(東京メトロ日比谷線)が設置されています。
バス
都バス草64系統が日本堤を通り、都バス上46・東42乙系統の「清川二丁目」バス停が近隣にあります。
施設
浅草警察署日本堤交番(旧:山谷地区交番)- 4階建ての通称「マンモス交番」。
台東区立日本堤子ども家庭支援センター
公益財団法人 城北労働・福祉センター - 日雇
労働者向けの生活相談や職業紹介等を行っています。
台東日本堤郵便局
康保会乳児保育所
堤児童公園
土手の伊勢屋 -
天丼で有名な老舗料理店。
スーパーシマダヤ(島田屋日本堤店・本部)
日本基督教団日本堤伝道所センター
Missionaries of Charity(神の愛の宣教者会) - マザー・テレサが創設したカトリック修道会の男子修道院。
日本キリスト教団山谷兄弟の家伝道所
東京消防庁日本堤消防署 - 町域外の千束一丁目に所在。
上野公共職業安定所玉姫労働出張所 - 隣接する清川に労働課窓口業務が設置されています。
現存しない施設
*
台東区立田中小学校
まとめ
日本堤は、歴史的な背景を持つ
地域であり、現在は多様な人々が暮らす場所となっています。かつての堤防の名残を残しつつ、新しい街の姿を形成しています。