親衛隊中佐

ナチス・ドイツにおけるObersturmbannführer階級

ナチス政権下のドイツでは、親衛隊(SS)を始め、[突撃隊]、国家社会主義自動車軍団(NSKK)、[国家社会主義航空軍団]といった様々な組織が存在しました。これらの組織にはそれぞれ独自の階級体系があり、その中でも「Obersturmbannführer（オーバーシュトルムバンフューラー）」という階級は重要な位置を占めていました。日本語では「上級大隊指導者」と直訳されますが、一般的には「中佐」と訳されることが多い階級です。

親衛隊(SS)におけるObersturmbannführer

SSにおけるObersturmbannführerは、少佐(SS-Sturmbannführer)の上位、大佐(SS-Standartenführer)の下位に位置する階級でした。一般親衛隊と[武装親衛隊]]の双方に存在し、警察業務に従事する者には警察[[中佐]の階級が併せて授与されることもありました。 多くのSS-Obersturmbannführerは、組織運営や作戦指揮、あるいは特定の任務に携わっていました。彼らの活動は、ナチス政権の政策実行に大きく関与しただけでなく、第二次世界大戦中の様々な戦争犯罪にも深く関わっていたことが指摘されています。

主なSS-Obersturmbannführer:

アドルフ・アイヒマン (国家保安本部4局ユダヤ人課課長): ユダヤ人大量虐殺の中心的役割を果たした人物として知られています。
フリードリヒ・エンゲル (イタリア・ジェノヴァの保安警察兼SD司令官): イタリアにおけるナチスの治安維持活動に深く関与しました。
ヘルベルト・カプラー (イタリア・ローマのゲシュタポ長官): ローマにおけるゲシュタポのトップとして、反ナチスの弾圧を行いました。
パウル・シュミット (外務省報道局長): 戦後はペンネームで戦記作家として活動しました。
マックス・ケーゲル (フロッセンビュルク強制収容所長): 強制収容所の所長として、多くの囚人を虐待しました。
エドゥアルト・シュトラウヒ (アインザッツグルッペン指揮官): アインザッツグルッペンによるユダヤ人大量虐殺に関与しました。
オットー・スコルツェニー: 特殊作戦部隊を率いて、ムッソリーニ救出作戦など数々の作戦に関与しました。
ベルンハルト・フランク: ヘルマン・ゲーリング逮捕に関わった人物として知られています。
エルンスト・ビーバーシュタイン (アインザッツグルッペン指揮官): アインザッツグルッペンによるユダヤ人大量虐殺に関与しました。
ルドルフ・フェルディナント・ヘス (アウシュヴィッツ強制収容所長): アウシュヴィッツ強制収容所の所長として、大量虐殺を指揮しました。
ペーター・ヘーグル (RSD刑事部長): 国家保安本部の刑事部門を率いました。
ハインツ・リンゲ (ヒトラーの従卒): ヒトラーの側近として仕えました。

架空のSS-Obersturmbannführerとして、コンピューターゲーム「Wolfenstein: The New Order」に登場するフラウ・エンゲルがいます。彼女は残虐な強制収容所看守として描かれ、実在の女性看守であるイルゼ・コッホをモデルにしていると言われています。

その他の組織におけるObersturmbannführerまたは同等の階級

SA、NSFKでは、SSと同様の階級体系にObersturmbannführerが存在しました。一方、NSKKでは、Oberstaffelführerという階級が同等の地位にありました。これらの組織においても、Obersturmbannführerは中核的な役割を果たしていました。しかし、SSほど詳細な記録が残されているわけではありません。

階級章

それぞれの組織で、階級章のデザインは若干異なります。詳細な図示はここでは省きますが、一般的に肩章や襟章に階級を示す記章が付けられていました。

まとめ

Obersturmbannführerは、ナチス・ドイツにおいて様々な組織に存在した重要な階級でした。彼らの活動はナチス政権の政策実行に大きく関与し、その多くは戦争犯罪にも深く関わっています。この階級の理解は、ナチス政権の実態を理解する上で不可欠です。また、彼らの行動は、歴史から教訓を引き出し、二度と同様の悲劇を繰り返さないための重要な視点を与えてくれます。

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