観光号 (韓国)

観光号の歴史と特徴

観光号（韓国語: 관광호）は、韓国鉄道庁が1968年2月10日から1974年8月14日まで運行していた優等列車です。この列車はソウル駅と釜山駅を結び、高速鉄道として重要な役割を果たしました。観光号は経済成長の波に乗り、改良されたサービスと快適性を提供することで多くの人々に愛されました。列車運行の先駆けとなる存在であり、その技術的背景についても興味深いものがあります。

登場の背景

大韓民国の建国後、1946年に最初の優等列車である「解放者号」が登場し、次いで「太極号」「白馬号」「豊年号」といった列車が続きました。これらの列車は、朝鮮総督府時代の車両を改良したもので、冷房設備を持たないものばかりでした。しかし、1960年代半ばからの高度経済成長に伴い、韓国鉄道庁は列車の品質向上に向けた新型客車の導入を決定しました。これにより、日本から輸入された新型客車を搭載した観光号が1969年に運行を開始しました。

車両の構成

観光号では、初期のディーゼル機関車に代わり、1969年からEMD製の7000形が導入され、最高速度150 km/hを誇ります。これにより、所要時間が大幅に短縮されました。
客車は、日本車輌製造と日立製作所によって製造され、20系客車を基にした構造で、新しい冷房装置を持つことが特徴的です。これにより、快適な環境が提供されました。

客車の特徴

観光号には4種類の客車が連結されていました。
1. 一般室車 - 二等車に相当し、56人の定員。リクライニングシートを備え、便所は和式でした。
2. 特室車 - 一等車に相当し、48人の定員。個室や洋式便所を備え、豪華な仕様でビジネス客にも対応しました。
3. 食堂車 - 調理室を持ち、前後に食事ができる席を設けたスタイルとなっていました。
4. 電源車 - 全車両に電力を供給するためのもので、荷物室や車掌室も兼ね備えていました。

運行開始とその影響

観光号は1969年2月10日に暫定運行を開始し、同年6月10日からは本格的な営業運転が始まりました。所要時間は5時間45分から4時間50分に短縮され、停車駅も新たに設定されるなど、利便性が格段に向上しました。特に釜山駅の改築と東大邱駅の開業は、利便性を高める大きな要素でした。

その後、1974年8月15日以降、観光号はセマウル号に改名されることになりますが、観光号での技術や設備はその後の列車にも影響を与え、特にリクライニングシートの採用や食堂車のレイアウト、集中電源方式は今でも多くの韓国列車に受け継がれています。

結論

観光号は、韓国鉄道史において重要な位置を占める存在であり、その登場は列車運行の質を大いに向上させるものでした。日本製の技術が取り入れられ、韓国の鉄道に新たな風を吹き込んだその影響は、今なお続いています。今後も観光号のような優れた列車が、韓国の鉄道史を彩ることを期待せずにはいられません。

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