観音寺 (世田谷区下馬)

観音寺（かんのんじ）について

観音寺は、東京都世田谷区に位置する独立した寺院で、「世田谷観音」という愛称でも知られています。この寺院は1951年に、元事業家で菩提心をもった太田睦賢によって創建されました。彼は私財を投じ、この寺を建てる決心をしました。

文化財の収蔵

観音寺は戦後に新たに設立された比較的新しい寺院ではありますが、所蔵する文化財には江戸時代以前の古いものが多く含まれています。これらの文化財は日本各地の寺社から取り寄せたもので、中には国の重要文化財や東京都の有形文化財として認められているものも存在します。特に、寺の本尊である聖観世音菩薩像は三重県桑名市の寺から取り寄せたもので、ここから「世田谷観音」という名称が由来しています。

本寺の六角堂には、康円による不動明王像および八大童子像が奉納されており、毎月28日には開帳されています。このような頻繁な開帳は、多くの信者や文化財愛好者にとって魅力的な行事です。

特攻観音の存在

観音寺の境内には特攻観音堂があり、特攻隊員4704名の霊が祀られています。この堂は1952年に音羽護国寺で開眼法要が行われ、元皇族の東久邇稔彦の臨席を得て設立されましたが、護国寺に奉安できなくなったため、1953年に移転されました。特攻平和観音の標柱は、当時の首相であった吉田茂の手によるものであり、「奉安 特攻平和観音」という標石には元皇族の竹田恒徳が揮毫したものが使われています。

また、昭和天皇やその他皇族から御花料が届けられ、寺の意義を一層深めています。観音堂の手前に位置する頌碑の建設には多くの発起人が関与しており、地域社会との結びつきを示す重要な要素となっています。

重要文化財の詳細

観音寺には特に重要な文化財として、木造不動明王像と八大童子像の9躯が康円作として奈良県内山永久寺から伝わっています。これらの像は美術的にも価値が高く、特に古い紙本墨書造像願文は1272年に遡るものであり、その存在は寺の歴史的・文化的意義を裏付けています。

アクセス

観音寺へのアクセスは、東急田園都市線や世田谷線の三軒茶屋駅から徒歩約20分かかります。また、渋谷駅や目黒駅からのバス路線もあり、「世田谷観音」というバス停で降りると便利です。これにより、多くの人々がこの寺院の文化財や歴史に親しむことができます。

観音寺は、過去と現在の橋渡しがなされる場所であり、地域に根差した信仰の象徴とも言えます。

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