観音寺 (南さつま市)

観音寺（かんのんじ）は、かつて鹿児島県南さつま市金峰に存在した真言宗の寺院です。正式名称は金峰山 観音寺 金蔵院と称しました。この寺院は、594年（推古2年）に真言宗を宗旨とし、本尊を十一面観音として建立されました。金峰山をご神体とする蔵王社（現在の金峰神社）の別当寺としての役割を担い、その歴史をスタートさせました。

金峰山が山岳信仰の霊場であったことから、観音寺は修験道の拠点として大いに栄えました。1138年（保延4年）の「阿多隆景寄進状案」には、祈祷領を寄進された寺としてその名が登場しており、平安時代末期には既に霊験あらたかな寺として広く知られていたことが伺えます。この寺は、その後山王社として祭られることになりました。観音寺の正確な創建年代は不明ですが、1535年（天文4年）には島津忠良によって再興されたという口伝が残っています。

しかし、1869年（明治2年）の廃仏毀釈により、観音寺は廃寺となり、その跡地は日枝神社へと姿を変えました。現在でも、観音寺の境内には、かつてこの寺で修行した僧侶たちの墓や、宝篋印塔が残されており、かつての寺院の面影を偲ぶことができます。

観音寺は、長い歴史の中で山岳信仰と密接に結びつき、地域の人々の信仰の中心として重要な役割を果たしてきました。その歴史は、現在の金峰神社や日枝神社に引き継がれ、今もなお、その存在を感じることができます。

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