角田礼次郎

角田礼次郎（つのだ れいじろう、1920年12月4日 - 2020年11月17日）は、日本の法律家であり、元最高裁判所判事、元内閣法制局長官です。位階は正三位。

生涯

角田礼次郎は、1920年（大正9年）に台湾の高雄で生まれました。父親が台湾総督府に勤務していた関係で、幼少期を台湾で過ごしました。その後、日本に戻り、第一高等学校を経て、1944年（昭和19年）に東京帝国大学法学部を卒業しました。卒業後は内務省に入省し、自治省を経て内閣法制局に異動しました。

内閣法制局では、大平正芳、鈴木善幸、中曽根康弘の三内閣にわたり長官を務めました。内閣法制局長官として、憲法改正、閣僚の靖国神社公式参拝、徴兵制の違憲性など、重要な政治問題に関する政府見解の策定において中心的な役割を果たしました。これらの問題について、政府答弁書をまとめる上で重要な役割を担いました。

1975年（昭和50年）3月18日、衆議院内閣委員会にて、内閣法制局第一部長として、「昭和という元号は法律上の根拠がなく、慣習として用いられている」と答弁しました。さらに、「天皇陛下に万一の事態が発生した場合、昭和という元号はその瞬間に消滅し、空白の時代が始まる」と述べました。この答弁は、当時大きな議論を呼びました。

1983年（昭和58年）11月には最高裁判所判事に就任しました。就任に際し、「法制局長官時代の見解を最高裁判事としても踏襲するのか」と質問された際には、「指摘されていることは謙虚に受け止めるが、これからの判決を見て判断していただきたい」と述べ、自身の見解を表明することは避けました。

1990年（平成2年）12月に定年退官するまで、最高裁判事として職務を全うしました。

2020年（令和2年）11月17日、99歳で死去しました。死没日をもって従七位から正三位に叙せられました。最高裁判事経験者の中では最長寿でした。

人物

角田礼次郎は、法律家として卓越した知識と見識を持ち、その発言は常に注目されました。内閣法制局長官として、政府の法解釈に大きな影響を与え、最高裁判事としても、司法の発展に貢献しました。

朝日新聞記者の藤生明は、椛島有三が後年「元号は新帝陛下の御代になっても存続するだろうという認識だった。答弁で強い衝撃を受けた」と回顧したと記しています。これは、角田礼次郎の発言が、当時の人々に大きな影響を与えたことを示しています。

参考文献

野村二郎『最高裁全裁判官』三省社、1986年。ISBN 4385320403。
野村二郎『日本の裁判史を読む事典』自由国民社、2004年。ISBN 4426221129。

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