計算ちがい

トムとジェリー『計算ちがい』：100万ドルと恋の攻防

1951年公開のアニメーション作品『計算ちがい』（原題：Casanova Cat）は、人気シリーズ『トムとジェリー』の一つ。ウィリアム・ハンナとジョセフ・バーベラ監督による、笑いとスリリングな展開が満載の作品です。

物語は、新聞記事で100万ドルを相続し、高級マンションへ引っ越したトゥードゥルという名の美しい雌猫から始まります。トムは、ジェリーを連れてトゥードゥルのマンションに乗り込み、彼女にジェリーをプレゼントするという、奇妙なアプローチで猛アタックを始めます。

トムは、ジェリーの顔を葉巻の煙で黒く塗り、無理やり踊らせるなど、ジェリーを道具として利用し、トゥードゥルへのアプローチを図ります。しかし、ジェリーはトムの横暴に我慢できず、反撃に出ます。

ジェリーは、トゥードゥルの記事を切り抜いて紙飛行機にし、野良猫のブッチに届けます。トゥードゥルに一目惚れしたブッチは、トムに邪魔されながらもトゥードゥルへの猛アタックを開始。トムとブッチは、トゥードゥルを巡って激しい争いを繰り広げます。

このドタバタ劇の最中、ジェリーは巧妙な策略を仕掛けます。トムとブッチの注意をそらし、隙を見てトゥードゥルに近づき、彼女の心を掴みます。トムとブッチが激しい争いをしている間に、ジェリーは二人の尻尾を結びつけ、混乱に乗じてトゥードゥルを誘拐します。

気が付いたトムとブッチは、窓の外を見下ろすと、トゥードゥルがジェリーと仲良く車に乗り込み、去っていく姿を目撃します。トムとブッチの計算違い、そしてジェリーの策略が功を奏した、予想外の結末です。

登場キャラクターと役割

トム: トゥードゥルの存在を知り、ジェリーを利用して猛アタックするも、ジェリーとブッチの策略によって翻弄され、最後はトゥードゥルをジェリーに奪われます。
ジェリー: トムに振り回されるも、機転を利かせ、トゥードゥルの記事をブッチに届け、トムとブッチの争いを利用してトゥードゥルを手に入れます。
トゥードゥル: 100万ドルを相続したことで、トムとブッチから熱烈なアプローチを受けますが、最後はジェリーを選びます。
ブッチ: ゴミ箱をあさる野良猫。ジェリーによってトゥードゥルの存在を知り、トムとトゥードゥル争奪戦を繰り広げますが、ジェリーに出し抜かれます。
* マンションの使用人: トゥードゥルのマンションに住む使用人。トムを部屋に通します。トムの家のお手伝いさんと容姿が似ているという設定も興味深い点です。

作品の背景と補足情報

『計算ちがい』の原題は「Casanova Cat（女たらし猫）」で、トムの行動がそれを反映しています。アメリカでのTV放送時には、ジェリーがトムに顔を黒くされ、熱した盆の上でタップダンスを踊らされるシーンが、人種差別問題を懸念してカットされた経緯があります。日本ではカットされずに放送されていることが多いです。また、本作ではブッチが「虹の彼方に」を歌っているシーンも印象的です。

『計算ちがい』は、トムとジェリーのコミカルなやり取りと、予想外の展開、そして緻密な演出が魅力の作品です。100万ドルという巨額の遺産を巡る争奪戦と、恋の駆け引きが絶妙に融合した、何度見ても楽しめるアニメーションとなっています。 トムとジェリー、そしてブッチのキャラクター性と、緻密に描かれた人間関係（？）も、この作品の見どころと言えるでしょう。

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