設定 (パチスロ)

パチスロにおける設定機能：出玉率を左右する重要な要素

パチスロにおける「設定」とは、内部プログラムによってボーナスや小役などの確率を調整し、最終的な出玉率（機械割）を制御する機能です。これはパチンコにおける釘調整と同様、ホール側が遊技台の性能を調整するための重要な要素となっています。近年では、ホール内のパチスロ機の設定配分を決定する専門家を「設定師」と呼び、中には高いスキルを持つ「カリスマ設定師」も存在するほど、重要な役割を担っています。

設定機能の必要性と法的観点

パチンコ機と異なり、パチスロ機の大当たり抽選は内部コンピュータによる乱数によって決定されます。そのため、大当たり確率を固定してしまうと、ホール側が出玉率を調整する手段がなくなってしまうため、設定機能が不可欠です。例外として、設定段階が1つしかない機種も存在しますが、非常に稀です。

各設定におけるボーナスや小役の確率は、メーカーが予めプログラムし、保安通信協会などの指定試験機関による検定を経て、出玉率が一定基準内にあることが確認された機種のみがホールへの設置が許可されます。従って、改造されていない限り、設定変更は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律（風適法）に抵触しません。過去には営業中に設定を変更するサービスを行うホールもありましたが、現在は射幸心を煽る行為として行政指導により事実上禁止されています。

設定段階数の変遷

設定段階数に法的な規制はありませんが、段階数が多すぎると検定に時間がかかり、少なすぎるとホール側の要望に対応しにくいため、4号機時代までは6段階（設定1が最低、設定6が最高）が一般的でした。設定6は、パチンコにおける「海物語」シリーズの6の絵柄であるアンコウになぞらえられることもありました。

5号機時代には一時的に設定段階数を減らす動きがあり、4段階設定の機種も多く登場しましたが、設定表記がメーカーによって異なるケースもありました。しかし、2015年以降は再び6段階設定が主流となっています。2021年以降の6号機では、「設定L」と呼ばれる、出玉率が極端に低い特殊設定を持つ機種も登場していますが、これは検定を通すための措置であり、通常営業では使用しないことが推奨されています。

設定変更とセキュリティ

設定変更は、ホールの経営に直結する重要な事項であり、ゴト行為防止のため、通常の鍵とは異なる専用の鍵を使用することが一般的です。設定変更作業は設定師や店長クラスが行い、内容は一般の店員には知らされません。過去には、設定情報を漏洩させたことでホールのマネージャーが逮捕された事例もあります。

設定変更を行うと台の状態がリセットされるため、一部機種では設定変更直後にボーナスを出しやすくなる場合があります。これを「リセットモーニング（リセモ）」と呼びます。

パチンコ機への設定機能搭載

パチンコ機には長らく設定機能がありませんでしたが、内規変更により2018年8月から設定機能搭載機種が登場しました。これにより、大当たり確率を調整することが可能になりました。

設定判別

パチスロでは、通常は外部から設定を確認できません。そのため、遊技状況から設定を推測する「設定判別」が重要な技術となっています。設定判別の方法は、機種や時代によって異なり、小役確率、ボーナス確率、特定演出の出現率など、様々な要素を分析します。近年では、設定判別を支援するスマートフォンアプリも登場しています。 様々な時代において、プレイヤーは独自の攻略法を生み出し、設定判別技術を磨いてきました。

各世代における設定判別

1.5号機～3号機: 吸い込み方式のボーナスフラグを利用した方法や、裏モノの存在が大きな特徴でした。

4号機: 小役確率の差（減算値）を利用した方法が主流となり、多くのプレイヤーが設定判別を実践しました。ビックボーナス後の小役状態のリセットや、意図的な小役ハズシなどの技術が求められました。

4.1号機: エクストラ設定（設定6）の存在が、設定判別の容易さと出玉性能の高さを両立し、ホール側の設定運用に影響を与えました。

4.5、4.7号機: 特定の設定で特有の挙動を示す機種が登場し、ボーナス連荘回数や特定ゲーム数でのボーナス出現率などが設定判別の指標となりました。

5号機: 設定数を自由化できるようになり、小役出現率やボーナス確率などの公表データと実測値を比較する手法が主流となりました。また、液晶演出などの非出玉要素にも設定差が設けられるようになりました。

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