誕生寺 (岡山県久米南町)

誕生寺

誕生寺は、岡山県久米郡久米南町に位置する浄土宗の寺院です。法然上人が生まれた場所に建てられており、山号は栃社山、本尊は圓光大師です。この寺院は、法然上人の弟子である坂東武者・熊谷直実が出家し、法力房蓮生と名乗った人物によって創建されました。蓮生は、法然上人の徳を慕い、1193年に法然の父である久米押領使・漆間時国の旧宅、つまり法然生誕の地に寺院を建立しました。当初は誕生律寺と呼ばれていましたが、現在では誕生寺として知られています。

歴史

誕生寺の歴史は、蓮生が法然上人のために寺院を建立したことに始まります。御影堂の扁額には「誕生律寺」と掲げられており、その歴史を今に伝えています。本堂である御影堂は、過去に二度の損壊を経て、1695年に再建されました。この御影堂は、その歴史的価値から国の重要文化財に指定されています。また、屋根の老朽化に伴い、1998年に修築工事が行われました。さらに、旧阿弥陀堂は老朽化のために解体され、2003年に新たに瑞應殿として再建されました。

文化財

誕生寺には、数多くの文化財が保存されています。

重要文化財（国指定）

御影堂: 1695年に再建された本堂で、歴史的な建築様式を今に伝えています。
山門: 1716年に建てられ、付属する筋塀は1857年に伏見宮家から寄進されたものです。

登録有形文化財

無垢橋: 1920年に建造された石橋で、片目川に架かっています。長さ7.3m、幅2.6mです。

岡山県指定重要文化財

繍帳阿弥陀三尊来迎図: 室町時代初期に製作された貴重な仏画です。
木造清涼寺様釈迦像: 南北朝時代に製作された仏像です。
木造阿弥陀如来立像: 鎌倉時代に製作された仏像です。
櫓時計: 江戸時代に製作された時計です。
石造宝篋印塔: 南北朝時代に製作された石塔です。
石造五輪塔: 1425年に製作された石塔です。
大仏: 1745年に鋳造された岡山県下で最も大きな仏像で、高さ6.42m、重量450kgです。

岡山県指定記念物（史跡）

法然上人誕生地: 法然上人が生まれた場所として、歴史的に重要な場所です。

岡山県指定重要無形民俗文化財

誕生寺二十五菩薩練供養（会式法要）: 「法然上人御両親御追恩二十五菩薩天童迎接練供養会式大法要」として知られ、毎年4月第3日曜日に行われます。室町時代から続く伝統行事で、日本三大練供養の一つとされています。

アクセス

誕生寺へのアクセスは以下の通りです。

自動車: 中国自動車道院庄I.C.から南東へ約20分、または中国自動車道津山I.C.から南西へ約30分。
公共交通機関: JR津山線誕生寺駅で下車後、徒歩約10分。

周辺情報

誕生寺は、中国自然歩道の一部に位置しており、自然豊かな環境にあります。また、旧赤坂高等尋常小学校本館校舎が完成するまで、誕生寺で授業が行われていた歴史があります。そのため、一時的に『誕生寺尋常高等小学校』と改称されたこともあります。

周辺の札所

誕生寺は、以下の霊場巡りの札所にもなっています。

中国三十三観音霊場: 正楽寺（3番）と木山寺（4番）の間に位置する特別霊場です。
山陽花の寺二十四か寺: 玉泉寺（11番）と大聖寺（13番）の間に位置する12番札所です。

まとめ

誕生寺は、法然上人ゆかりの地であり、多くの文化財や歴史的な建造物を有する寺院です。特に、二十五菩薩練供養は室町時代から続く重要な行事であり、訪れる人々を魅了します。自然豊かな環境の中で、歴史と文化に触れることができる場所として、多くの人に訪れてほしい場所です。

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