誠之館

誠之館について

誠之館（せいしかん）は、長い歴史を持つ備後福山藩の藩校で、1855年に設立され1872年に閉校しました。この学びの場は、藩主たちの教育理念に基づいて設立され、福山市の教育の要として機能しました。

設立背景

福山藩の教育の起源は、1786年に福山藩4代藩主の阿部正倫によって設立された弘道館に遡りますが、1854年には7代藩主の阿部正弘により弘道館は廃止されます。それに替わり、江戸と福山に新たな藩校として誠之館が設立されました。校名は、中国の古典『中庸』の一句、「誠者天之道也、誠之者人之道也」に由来し、「誠」という概念に重きを置いていました。

誠之館は、福山城下の南端、現在の西町道三口に開校され、学科には国学、洋学、医学、数学、兵学など多岐にわたる内容が含まれていました。また、ここでは試験制度が取り入れられ、成績に基づく進級が行われ、教育の質が徹底されていました。

入学制度の改革

1868年には、藩主の方針により、一般庶民の出身者も入学できるようになり、誠之館は幅広い層の学生を受け入れることとなりました。この改革は、教育の普及を目指した重要な一歩といえます。

廃校とその後

しかし、明治維新の波が押し寄せる中で、誠之館は1872年に新政府の指導の下、廃校となってしまいます。その後、誠之館の施設は小田県師範学校などの教育機関に転用されました。小田県師範学校は後に広島県福山師範学校に改名され、1879年には廃止されます。

現在、古い誠之館の名を冠した学校として、尋常中学福山誠之館が誕生し、その後1948年に広島県立福山誠之館高等学校と改称され、今も地域の教育を支えています。

文化財と記念碑

誠之館に関連する史跡も数多く残されています。その中でも、旧誠之館の正門は現在福山誠之館高校の敷地内に移築され、高校記念館として保存されています。この記念館は2001年に有形文化財として登録され、地域の歴史を物語る重要な場所となっています。また、誠之館があった場所には誠之館址碑が建てられ、当時の学び舎の歴史を今に伝えています。

関連項目

誠之館の歴史を知るために訪れるべき場所として、文京区立誠之小学校や、小学校と高校の公式ウェブサイトもご覧いただくことをお勧めします。このように、誠之館は多くの人々に影響を与え、今なおその精神が受け継がれているのです。

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