調帳

調帳（ちょうちょう）とは

調帳は、律令制の日本において重要な役割を果たしていた帳簿で、各地方の国から貢物や租税の内容を記録したものです。この帳簿は、毎年中央政府に送られる調の詳細をまとめており、その内容には品目、分量、調丁数が含まれています。この制度の下で、貢調使という官吏が整備された調の実物や、関連する文書とともに都に持参することが求められました。

構成と提出方法

調帳は、古代日本の行政システムにとって重要な書類でした。『延喜式』に基づき、毎年調帳は計3部作成され、弁官に提出されています。この提出後、弁官による確認を経て、主計寮（勘会を担う機関）、大蔵省（納付された調の管理を行う機関）、および中務省（実際に調を使用する官庁）に渡されました。この流れが、調の正確性や管理を厳密に行うための重要な手続きとされていました。

現存する調帳

現在確認されている調帳は非常に限られており、最も古いものの一例は、保安元年（1120年）頃に作成されたと考えられています。その中で摂津国の調帳の案文も存在しますが、これは調の機能が実質的に崩壊した時代の形式的な記録であるため、実情とは異なる面があります。実際に使用された文書としては、茨城県石岡市の鹿の子C遺跡から出土した延暦年間における常陸国の漆紙文書が知られています。この文書は当時の実際の調帳制度がどのように機能していたのか、貴重な証拠を提供しています。

調帳の歴史的背景

律令制は古代日本において重要な行政制度であり、その中で調帳は財政管理の一環として機能していました。各国から貢物が送られることは、中央政府の権力を強化し、地方の統治を円滑にするための基盤となりました。そのため、調帳は地域と中央政府の関係を示す重要な歴史的資料でもあります。

調帳を通じて、当時の日本の社会構造、経済活動、そして中央政府の役割についての理解が深まることでしょう。調帳の役割やその存在は、古代日本の歴史と行政システムを知るために欠かせない要素の一つです。

参考文献

• - 鎌田元一「調帳」（『国史大辞典 9』（吉川弘文館、1988年） ISBN 978-4-642-00509-8）
• - 古藤真平「調帳」（『平安時代史事典』（角川書店、1994年） ISBN 978-4-04-031700-7）

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