請負代官

請負代官とは

請負代官（うけおいだいかん）は、中世後期の荘園公領制下において、荘園[[領主]]と契約を結び、年貢や公事の徴収、そして領主への輸送を一切請け負った代官を指します。

請負代官登場の背景

南北朝時代頃から、地頭などの在地勢力が請所や下地中分を展開し、職の体系に基づく支配体制が動揺しました。また、代銭納や割符、為替などの新しい経済システムが登場したことで、従来の荘園[[領主]]や彼らが派遣した所務代官による支配が困難になりました。このような状況下で、領主は収益を確保するために、より好条件で代官業務を請け負う者を探すようになりました。そこで、所務職を与えられた代官、すなわち請負代官が登場することになったのです。

請負代官の就任

請負代官に就任するためには、領主に対して多額の補任料を納めたり、請け負う年貢の額を提示したりする必要がありました。そのため、土倉や酒屋のような商業資本を持つ者、あるいは五山などの禅僧や山伏などの宗教関係者といった経済的な基盤を持つ者が、請負代官となることが多かったようです。また、領主の中には、複数の希望者を競合させ、より有利な条件で契約を結ぼうとする者や、債務の抵当として所務職を差し出す者もいました。

請負代官の業務と報酬

請負代官は、原則として1年ごとに契約を更新しました。請け負った年貢の中から一定の割合（例えば、請負年貢高の1/3や1/5など）を「得分」または「分一」として受け取るのが一般的でした。また、定められた年貢額のみを代銭納の形で領主に納め、残りを自分の収益とする「請切」という方法もありました。しかし、請負代官は現地の守護や地頭、国人といった有力者や、住民との交渉能力も求められました。そのため、実際の現地支配を担う「地下代官」を任命・派遣する場合もありました。時代が下るにつれて、請負代官は徴税請負人としての性格を強めていきました。

まとめ

請負代官は、中世後期の荘園制における支配体制の変化を象徴する存在です。経済的な力を背景に、領主との契約によって収益を上げる一方で、現地の有力者や住民との交渉、実際の徴税業務を担うなど、複雑な役割を担っていました。その活動は、中世社会の経済構造や支配体制の変化を理解する上で重要な要素となっています。

参考文献

島田次郎「請負代官」『日本歴史大事典 1』（小学館 2000年）ISBN 978-4-09-523001-6
高橋典幸「請負代官」『日本荘園史大辞典』（吉川弘文館 2003年）ISBN 978-4-642-01338-3

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