諏方国

諏方国（すわのくに）とは

諏方国は、奈良時代に存在した日本の地方行政区分である令制国の一つです。東山道に位置し、現在の長野県西部に相当する地域を管轄していました。ただし、その存続期間は非常に短く、わずか10年で信濃国に統合されました。

歴史

諏方国は、養老5年（721年）6月26日に信濃国から分立しました。その背景には、以下の要因があったと考えられています。

諏訪地方の独自文化: 諏訪地方は、古くから諏訪大社を中心とした独自の文化圏を形成していました。この地域特有の文化を尊重し、独立した国として統治する必要があったという説があります。
広大な信濃国の統治の困難さ: 分立前の信濃国は、非常に広大で地形も複雑でした。当時の国府は北東部の小県郡に位置しており、国全体を効率的に統治することが難しかったため、諏訪地方を独立させることで、より円滑な行政運営を目指したという説もあります。

諏方国の領域については、正確な記録は残っていません。しかし、諏方郡（ただし、後に編入された立場川以東を除く）と伊那郡の太田切川以北は確実に含まれていたと考えられています。さらに、筑摩郡（後に編入された木曽地域、筑北盆地を除く）や安曇郡を含める説も有力です。国府の所在地についても、具体的な場所は不明です。

分立後、諏方国は飛騨国とともに美濃按察使の管轄下に置かれました。これは、分立前の信濃国がすでに美濃按察使の管轄下にあったことを踏襲したものです。また、神亀元年（724年）には、流罪人の配流地を定める規定において、伊予国とともに「距離中国」と定められました。

しかし、天平3年（731年）3月7日、諏方国は廃止され、再び信濃国に統合されました。その理由は明確にはわかっていませんが、短期間で信濃国に戻されたことから、諏方国として独立して統治する必要性が薄れたと考えられます。

関連項目

* 令制国一覧

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