諏訪時継

諏訪時継：激動の南北朝時代を生きた諏訪大社大祝

諏訪時継は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した武将です。正確な生年は不明ですが、建武2年（1335年）8月19日に没しました。諏訪頼重の子として生まれ、後に諏訪大社の大祝を務めた人物です。時継は、頼継、継宗、信継の3人の子をもうけました。頼継は後に諏訪大社の大祝を継ぎ、継宗は高遠氏の祖と伝えられています。

大祝の座と中先代の乱

時継は、諏訪大社の神職である大祝の地位を受け継ぎました。しかし、建武2年（1335年）7月、時継の父である頼重が北条時行を擁して中先代の乱を起こします。この乱は、鎌倉幕府滅亡後も勢力を保っていた北条氏残党による反乱でした。時継はこの乱に際し、大祝の職を息子の頼継に譲りました。この決断は、家系の存続と大社の安泰を図るための苦渋の選択だったと考えられます。しかし、乱は足利尊氏の軍勢によって鎮圧され、時継は父・頼重と共に勝長寿院で自刃しました。

諏訪氏の存続と動乱

時継の死後、諏訪氏は存続を許されました。これは、室町幕府に服属していた諏訪円忠（『諏方大明神画詞』の著者）の嘆願が功を奏したと推測されています。しかし、南北朝時代の動乱は諏訪氏を揺るがします。大祝の座を継いだ頼継は、南朝に与しましたが、敗北を喫し、没落しました。結果、諏訪氏の大祝職と惣領は頼継の弟である信継の系統が継承することとなりました。

信継の子である直頼は、南朝方、そして観応の擾乱においては足利直義派として尊氏派と対立しました。しかし、信濃国内における南朝勢力の衰退を悟り、諏訪円忠の勧告もあり、北朝・室町幕府方に降りました。直頼の嫡子である信有の家系は、戦国時代まで続き、頼満、頼重へと繋がっていきます。

高遠氏との繋がり

時継の子である継宗（あるいは頼継という説もある）は、諏訪氏の有力支族である高遠氏の祖とされています。このことは、諏訪氏が信濃地方における勢力を拡大していく過程において、支族との連携が重要な役割を果たしていたことを示唆しています。

まとめ

諏訪時継は、激動の南北朝時代を生き抜いた人物でした。大祝という重要な地位にあった彼は、家系の存続と大社の安泰のために苦悩し、決断を迫られました。彼の死後も、諏訪氏は様々な困難に直面しながらも存続し、信濃地方の歴史に大きな影響を与え続けました。時継の生涯は、南北朝時代の複雑な政治情勢と、そこに翻弄された地方豪族の姿を鮮やかに浮かび上がらせるものです。その生き様は、後の世に語り継がれるべき歴史の一端を担っていると言えるでしょう。

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