諫早茂孫

諫早茂孫（いさはや しげたね）について

諫早茂孫は、江戸時代後期に活躍した武士であり、肥前国佐賀藩の藩士でした。諫早鍋島家の14代当主として、その名を歴史に刻んでいます。

出自

諫早家は、戦国時代の武将である龍造寺隆信の又従兄弟である家晴の子孫にあたります。龍造寺氏は、もともと佐賀藩の藩主である鍋島氏の主君でした。しかし、鍋島氏に藩主の座を譲った後も、龍造寺氏の一族として大きな影響力を保持し続けました。そのため、鍋島氏を憚り、諫早氏を名乗るようになりました。家紋は「上り藤」を使用し、代々藩主から「茂」の字を授かる慣習がありました。藩内における家格は親類同格であり、龍造寺氏一族として大名に匹敵する二万六千石の知行を有し、藩内で重要な地位を占めていました。

生涯

文政8年（1825年）6月11日、諫早邑主12代・諫早茂洪の三男として誕生しました。幼名は孫九郎と名付けられました。嘉永元年（1848年）2月には、13代当主であった兄・茂喬が病死したため、その跡を継ぐことになります。兄の子である益千代はまだ幼かったため、同年3月に孫九郎が家督を相続し、14代当主となりました。

嘉永2年（1849年）には、アメリカ東インド艦隊の軍艦プレブル号が長崎に来航しました。この際、茂孫は兵を率いて長崎に急行し、港の警備に当たりました。嘉永3年（1850年）には、藩主・斉正から、茂孫や鍋島茂昌ら若い家老たちに対し、日勤を免除し、藩校弘道館で文武に励むようにという命が下されました。これは、藩の将来を担う若者たちを育成するための措置でした。

嘉永5年（1853年）3月、茂孫は家督を益千代（武春）に譲り、隠居しました。隠居後は、家中で「大旦那様」と呼ばれ、敬意をもって迎えられました。慶応2年（1866年）2月20日、42歳でこの世を去りました。菩提寺である天祐寺に葬られています。

茂孫の長男である家崇は、一学の跡を継いで諫早家17代当主となり、明治30年（1897年）には男爵に叙せられました。このことから、諫早家が明治時代においても一定の地位を保ち続けたことが分かります。

参考文献

「諫早市史」
中野礼四郎 編『鍋島直正公伝. 第3編』 - 国立国会図書館デジタルコレクション

参考リンク

小城藩日記データベース
諫早市美術・歴史館「諫早家ゆかりの品々展」

これらの資料から、諫早茂孫が江戸時代後期という激動の時代を、佐賀藩の藩士として、そして諫早家の当主としてどのように生きたのかを垣間見ることができます。

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