諸井春畦

諸井春畦について

諸井春畦（もろい しゅんけい）、本名直行（なおゆき）、1866年3月30日に生まれ、1919年5月9日に亡くなった日本の実業家であり書道家です。彼は埼玉県本庄市に生まれ、武蔵国児玉郡本庄宿において育ちました。春畦は日本の近代化に多大な影響を与えた東諸井家の一員であり、彼の家族には著名な実業家や外交官が多数含まれています。

生い立ちと家族背景

春畦は、郵便業を営む侍の家系、諸井泉衛の三男として誕生しました。彼の兄、諸井恒平は秩父セメント会社の創設者であり、弟の諸井四郎は東亜製粉会社を設立しました。また、諸井四郎の弟の六郎は外交官として陸奥条約改正に尽力しました。このように、彼の一族は近代日本の発展に寄与する重要な役割を果たしました。春畦は養子に柳田誠二郎を迎え入れ、彼は後に日本航空の社長となるなど、家系の栄光を続けました。

業績と書道への道

春畦は東京で経済学を学び、日本初のビルブローカー業を開始しました。彼はこの分野の先駆者として知られ、銀行間の資金融貸業務における重要な人物となります。さらに、春畦は書道の分野でも特に高い評価を受け WEST川春洞に師事し、彼自身も書家として知られるようになりました。

春畦とその妻であるクラは共に春洞の弟子であり、書家として活動していました。夫婦で共に書道を学び、それぞれの作品が評価される中、彼らは共に「春洞門七福神」としても知られています。1904年、春畦は豊道春海などと共に謙慎堂同窓会を結成し、1906年には養子の誠二郎を迎え入れました。1911年には明治書道会を設立し、その会長に就任しました。春畦は著作も手がけ、『書法三角論』や『書家宝典』などが知られています。

死去と影響

春畦は1919年に流行性感冒（スペインかぜ）によって54歳で亡くなりました。彼は兄弟の中でも比較的早い死を迎え、その死は多くの弟子や支持者たちに衝撃を与えました。彼の墓所は埼玉県の安養院にあり、そこには「春畦諸井先生碑」が建立されています。

書風と影響力

彼が得意とした書は、楷書や隷書を中心に、整然としながらも力強さや潤いを持ったスタイルが特徴です。また、彼は自身の著書『書法三角論』において、字を全体的に三角形に書くという独自のスタイルを提案し、西洋の学理を取り入れたその作品は書道界において大きな影響を与えました。

残された影響

春畦の死後、彼の弟子たちは春畦会（財団法人）を設立し、毎年彼の命日には墓参りを行い、書道の研究を続けていると伝えられています。養子であった誠二郎は春畦の死後、相続権を放棄し、旧姓に戻る選択をしましたが、彼は春畦の家族の一員として重要な役割を果たしました。

春畦の人生と業績は、今日の日本書道やビジネスの発展にも深く関わっており、彼の影響は多くの人々に受け継がれています。

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