諸羽神社

諸羽神社：歴史と自然が息づく山科の鎮守

京都府京都市山科区四ノ宮に鎮座する諸羽神社は、天児屋命（あめのこやねのみこと）と天太玉命（あめふとたまのみこと）を祭神とする神社です。かつては「兩羽大明神」と呼ばれ、後に「諸羽神社」と改称されました。古くから山城国宇治郡山科郷の重要な社として、地域の人々の信仰を集めてきました。旧社格は郷社で、通称を四ノ宮（しのみや）と呼びます。

歴史に彩られた社殿

諸羽神社の創建は貞観4年（862年）と伝えられていますが、詳細は不明です。応仁の乱（1467年-1477年）で社殿は焼失し、その後再建されました。しかし、明和元年（1764年）と天明年間（1781年-1789年）にも火災に見舞われ、貴重な古記録の大半を失いました。現在の社殿は、これらの災厄を乗り越え、19世紀中頃に建立されたものです。明治6年（1873年）に村社、明治16年（1883年）には郷社に昇格しました。

交通の要衝、そして人康親王ゆかりの地

諸羽神社は、古くから京都への出入り口である要衝の地、現在の京阪京津線四宮駅近くに位置しています。この地域は、平安時代の皇族、人康親王ゆかりの史跡が多く存在することで知られています。神社境内にある琵琶石も、人康親王に関連する伝承が残されています。また、諸羽神社は四ノ宮、安朱、竹鼻の3地区の産土神として、地域住民の信仰のよりどころとなっています。かつての宇治郡四宮村の西端の山中に鎮座しており、神社の名前が村名の由来になったという説もあります。

境内に見る歴史の痕跡

神社境内には、歴史を感じさせる建造物や遺構が残されています。

琵琶石: 『伊勢物語』七十八段に登場する「紀の国の千里の浜の石」と伝えられていますが、真偽は不明です。藤原常行が山科の禅師の親王に献上したとされるこの石は、神社の歴史と物語性を象徴する存在です。
本社: 本社の造営年代は不明ですが、細部の様式から19世紀中頃のものと推定されています。
摂社・末社: 本殿の西側北隅には、天満宮と稲荷社が祀られています。

現代に続く信仰と祭事

諸羽神社では、現在も盛んに祭事が行われています。

小学校入学奉告祭：4月第一日曜日（春季大祭）
例祭：4月16日
神幸祭：10月第三日曜日（秋季大祭）

これらの祭事は、地域住民の信仰と一体となり、神社の伝統と歴史を現代に伝えています。諸羽神社は、歴史と自然が調和した静かな空間で、訪れる人にやすらぎを与えてくれる場所です。 アクセスはJR東海道本線山科駅から、または京阪京津線山科駅から徒歩10分です。

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