警察官吏及消防官吏功労記章

警察官吏及消防官吏功労記章について

警察官吏及消防官吏功労記章（けいさつかんりおよびしょうぼうかんりこうろうきしょう）は、明治時代に制定された、警察官および消防官を対象とする記章です。当時の消防は警察の一部門であったため、両者が対象となりました。

制定の経緯

1897年（明治30年）、内務大臣の樺山資紀は、警保局長の寺原長輝と協議し、功労が顕著な警察官吏および消防官吏を内務大臣が表彰するべきだと考えました。当初は「警察官吏、監獄官吏賞牌」という名称で、円形有綬の功労賞牌を授与する勅令案が作成されました。

しかし、賞勲局総裁から「功労賞牌は栄典の授与であり、大権を侵す恐れがある」という反対意見が出されました。また、「綬を付けることは勲章と紛らわしい」という指摘もあり、この案は取りやめとなりました。

その後、内務書記官として発議に参画し、後に警保局長となった有松英義が、綬を付けずに賞牌の名称を「功労記章」と改め、授与ではなく付与とすることで、賞勲局との交渉を重ねました。

そして、発議から13年後の1910年（明治43年）、明治43年12月勅令第438号「警察官吏及消防官吏功労記章ニ関スル件」によって、警察官吏及消防官吏功労記章が制定されました。これにより、内務大臣から付与される最高位の警察表彰となりました。

記章は制服に佩用することが許され、禁錮以上の刑に処せられたり、懲戒免職の処分を受けた場合は、記章を返納することが定められました。

受章例

警察官吏及消防官吏功労記章は、以下のような功績を挙げた警察官や消防官に付与されました。

1910年（明治43年）：幸徳事件の検挙に貢献した長野県警察部松本警察署の警部1名、巡査2名が初めて付与されました。
1911年（明治44年）10月21日：日本刀を振りかざして抵抗する3人組の強盗に対し、木刀で応戦し、右肩に重傷を負いながら1名を逮捕した警視庁の巡査に付与され、警視庁における初の受章者となりました。
1936年（昭和11年）：二・二六事件において反乱軍に応戦し、殉職した警視庁の巡査部長および巡査に付与されました。

関連する記章

警察官吏及消防官吏功労記章の他に、警察官を対象とした以下の記章があります。

警察勲功章
警察功労章
警察功績章

まとめ

警察官吏及消防官吏功労記章は、明治時代に制定された、警察官および消防官の功績を称えるための重要な記章です。その制定には紆余曲折がありましたが、最終的には内務大臣から付与される最高位の警察表彰として確立されました。この記章は、危険を顧みず職務を遂行した警察官や消防官の勇気と功績を後世に伝えるものです。

参考文献

* 『警視庁史 明治編』、警視庁史編さん委員会 478-481頁

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