譲寧大君

譲寧大君の生涯と影響

譲寧大君（じょうねいたいくん、1394年 - 1462年）は、李氏朝鮮時代の著名な王族であり、第3代国王太宗の長男として生まれました。その母は元敬王后閔氏であり、彼は孝寧大君や第4代国王世宗の実兄でもあります。本名は李褆（リ・テイ）で、字は厚伯とされています。

生い立ちと王位に至るまで

1394年に漢城府で生まれた譲寧大君は、1402年にはその本名の褆が与えられ、同年に元子に冊封されました。1404年には王世子に任命され、1407年には金漢老の娘と結婚し世子嬪を迎えました。しかし、彼の奔放な生活と女性関係は父の太宗に大きな悩みをもたらしました。太宗は何度も譲寧大君に行動を改めるよう助言しましたが、その要求は受け入れられず、最終的には1417年に世子の地位を剥奪され、譲寧大君に封ぜられました。

世子廃位を支持する者は少数であり、代わりに実弟の忠寧大君（後の世宗）が王世子の地位を継ぎました。譲寧大君は世宗よりも長生きし、彼が崩御した後は王族の中での重鎮として様々な陰謀に関わりました。1462年、韓城で67年の生涯を閉じ、諡号は剛靖と名付けられました。

譲寧大君の人物像

譲寧大君はその素行不良から廃位されたものの、実弟の才能を認め、彼が即位できるようにわざわざ愚かさを装ったとも理解されています。彼の女性関係は派手であり、気に入った女性を宮中に引き入れたり、中には妓女との関係で問題を起こすこともありました。太宗の怒りを買った際には、妓女が処刑された事件もあります。また、伯父の定宗からも寵愛を受けた楚宮粧や、重臣郭旋の愛妾とのスキャンダルにも巻き込まれました。譲寧大君は時に、奴婢との関係も持つなどして、また息子の瑞山君の愛妾に手を出したことが原因で、瑞山君が心の病にかかったという噂もありました。

廃位後もその行動は問題視されましたが、世宗からの庇護を受けることで処罰されることはありませんでした。廃世子であるにもかかわらず、彼は王の実兄として重んじられ続けたのです。

芸術への関心

譲寧大君は政治にはあまり興味を示さず、書道や絵画、詩作などの芸術を愛し、風流で自由な生活を送ったことで知られています。その結果、彼は李氏朝鮮王朝の文化を深める一翼を担ったといえるでしょう。

家族と子孫

譲寧大君の家族構成は非常に多岐にわたります。父は太宗、母は元敬王后閔氏、弟には世宗と孝寧大君がいます。彼は正室と側室を合わせて、10男17女もの子女を授かりました。正室は光山金氏で、彼女との間には順成君、咸陽君、瑞山君などがいます。また、伴侶の中には妓生や側室もおり、その中の一人である於里は重臣の元妾で、さまざまなスキャンダルの元でもありました。

文化的影響

譲寧大君の人生は、多くの歴史やドラマの題材として取り上げられました。彼の人間的な側面や弟の世宗を支えた背景、波乱に富んだ生活には、観る者の興味を引くものがあります。彼に関するテレビドラマや映画は多数制作されており、その全てが彼のユニークな人生を描いています。このように、譲寧大君は李氏朝鮮王朝だけでなく、韓国文化にも大きな影響を与えた人物なのです。

もう一度検索