谷万太郎

谷万太郎の生涯

谷万太郎（たに まんたろう）は、1835年12月3日（天保5年1月1日）に備中松山で生まれた新選組の隊士です。幼少期は万吉と呼ばれ、父から武術を教わりながら過ごしました。家族は、兄の三十郎と弟の周平を持ち、家系は武士の道を歩んでいました。

家庭と出奔

万太郎は、安政3年（1856年）に家族の不祥事により谷家が断絶する運命にありました。この事態を受けて、兄と共に故郷を離れることを決意します。その後、彼は公卿中山家の侍医である岩田文碩のもとで食客として暮らし、文碩の娘スエと結婚し、大坂南堀江町で道場を開きました。

新選組への参加

1863年9月、万太郎は新選組に加入します。彼は池田屋事件に参加し、近藤勇の部隊に属して活躍しました。この事件では、功績が認められ報奨金20両を受け取っています。また、同年12月には新選組の二番組に配属され、組織の中心的存在となっていきました。

彼は大坂の屯所に駐屯しながら、兄や仲間たちと活動を続けました。大坂でのぜんざい屋事件では、三十郎や阿部十郎と共に大利鼎吉を討伐し、その名を次第に高めていくことになります。しかし、彼は本隊とは別行動を取ることも多く、兄の三十郎が戦死した後には新選組を離れたと考えられています。

明治維新後の生活

明治維新後、万太郎は大坂で道場を営み続け、それにより生活を支えていました。西南戦争の時期には、大阪府知事の推薦を受けて一時的に抜刀隊の長としての役割を持つこともありましたが、その後道場経営に失敗してしまいます。彼は商家の用心棒として余生を送り、最終的には妻であるスエと離婚して愛人の吉村たみと同棲することになりました。

最期の時

万太郎は1886年、食道癌により大阪で51歳の生涯を閉じます。彼の墓は大阪市北区の本傳寺にあります。生涯を通じて、彼には多くの弟子があり、中でも阿部十郎が名を残しています。また、明治維新後には篠原泰之進との交流があり、篠原は新選組入隊前に万太郎の道場にしばらく滞在したことが伝えられています。

武術と後の評価

万太郎は、種田流槍術や直心流剣術といった武術を用いていました。彼の生涯は、多くの激動の時代を生き抜いた武士としての姿を物語っています。司馬遼太郎の著作『新選組血風録』では万太郎は登場しないものの、兄弟の関係が描かれているという点でも興味深い存在です。

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